ライフ

【横浜流星主演】大河ドラマ『べらぼう』主人公・蔦屋重三郎は江戸時代の出版王 庶民と隔絶された“色街・吉原の世界”を宣伝しヒット連発、一大観光名所に仕立て上げる

『青楼名君自筆集』 北尾政演(山東京伝)画:天明4(1784)年 版元:蔦屋重三郎 東京国立博物館。有名な遊女を10~15歳の禿(かむろ)らとともに描いた錦絵。上部には遊女直筆の狂歌などがそのまま彫られている。ColBasee(https://colbase.nich.go.jp)

『青楼名君自筆集』 北尾政演(山東京伝)画 天明4(1784)年 版元:蔦屋重三郎 東京国立博物館/有名な遊女を10~15歳の禿(かむろ)らとともに描いた錦絵。上部には遊女直筆の狂歌などがそのまま彫られている。ColBasee(https://colbase.nich.go.jp)

 NHK大河ドラマが初めて江戸中期を描く2025年『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の主人公は、横浜流星が演じる蔦屋重三郎(以下、蔦重)。色街・吉原に生まれ育ち、遊郭や遊女にまつわる出版物でヒットを連発。江戸の出版界を牽引した人物だ。

 大河ドラマでは、小芝風花や福原遥が花魁役で登場し、吉原が物語の重要な舞台となる。

「幕府が公認した江戸で唯一の遊郭が吉原です。吉原関連の出版物を出した版元は多いが、蔦重は生粋の吉原っ子で、吉原の仕組みや作法、料金、どんな遊女がいるのかなどを知り抜いていた。だからこそ、庶民と隔絶された世界の吉原を宣伝することができたのです」

 こう語るのは、江戸時代の文化を中心に、吉原や春画に関する論評も数多い作家の永井義男氏だ。蔦重は、吉原のガイドブックである『吉原細見』を編集したほか、遊廓などを舞台にした性風俗小説である洒落本や浮世絵などを手掛け、吉原を江戸の一大観光名所に仕立て上げていく。

「蔦重の手掛けた浮世絵に描かれる遊女の衣装や髪型は、当時の女性たちの憧れの的となりました。今日のアイドルやファッションモデルのように熱狂的な人気を博すと、描いた絵師も売れっ子になっていく。そうした相乗効果で、蔦重は江戸を代表する版元になっていくのです」(永井氏)

 明暦3(1657)年に日本橋から現在の台東区千束に移転した吉原は、非公認の売春街である岡場所に客を奪われ、元禄年間(1688~1704)の好景気が弾けて以降、客足が遠のいていた。蔦重が刊行物をヒットさせ、人々の関心を吉原に向けさせたのは、渡りに船だったのである。

「参勤交代で地方から江戸を訪れる勤番武士も、吉原見物を何よりの楽しみにしていたようです。もっとも、彼らは金銭的な余裕はないので見世にあがらず見物しただけでした。新撰組の前身・浪士組を率いた清河八郎が母親を吉原見物に連れて行った記録も残っています」(永井氏)

 一方、江戸では狂歌が大流行し、蔦重も吉原に作られた連に「蔦唐丸」の狂名で参加。ここで深めた戯作者や絵師たちとの関係が、蔦重を時代の最先端を走る出版人に育てていった。

※週刊ポスト2025年1月17・24日号

関連記事

トピックス

1月7日放送の『ザ!世界仰天ニュース』では中居正広の出演シーンが全カットされていた(番組公式HPより)
《高視聴率記録》中居正広出演シーン全カットの日テレ『仰天ニュース』、“MC不在”の4時間に編集した制作サイドに業界内で上がる「すごすぎ」の声
NEWSポストセブン
元「ANZEN漫才」のみやぞん(Instagramより)
《5500万円のロールス・ロイスを買いたい》みやぞんが“金持ちキャラ”に激変 「ANZEN漫才」解散後の相方は月収は850円で「広がる格差」
NEWSポストセブン
フジテレビ
フジテレビ・木下康太郎アナが電撃退社していた、1年前から米国留学中も新たな道へ 局も「退社は事実」と回答
NEWSポストセブン
来る3月、大谷翔平が日本に凱旋
大谷翔平、日テレが生中継する開幕前の壮行試合に“出場拒否”の可能性 依然として尾を引く「新居報道騒動」
女性セブン
けがの前と変わらない立ち姿を披露された美智子さま(2025年1月2日、東京・千代田区。撮影/JMPA)
美智子さま「杖をつかずに一般参賀に参加」の目標を見事に実現 宮内庁病院は看護師2名の追加採用を決定、“快復のカギ”となるか
女性セブン
450日以上にわたって拘束され続けているリリー・アルバグさん(イスラエル大使館の公式Xより)
《停戦合意を前に19歳女性の人質動画を公開》ハマスが450日にわたり拉致・監禁「性奴隷」と呼ばれ…深刻な肉体的苦痛の実態「もう私たちが知っている彼女ではない…」
NEWSポストセブン
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
「田原俊彦、植草克秀を収録済み」中居正広『だれかtoなかい』が早期打ち切り危機…空白埋める「毒舌フリーアナ」
NEWSポストセブン
秋篠宮ご一家の動向が注目されている(写真提供/宮内庁)
【原武史氏×河西秀哉氏が見通す2025年の皇室】悠仁さま、愛子さま、佳子さまに重大岐路 皇室改革がなければ「秋篠宮家」一家丸ごと皇籍離脱の可能性も
週刊ポスト
中居正広の女性トラブルに全く触れないテレビ局 
中居正広の深刻トラブルに全く触れないテレビ局 ジャニー氏性加害問題で反省したはずなのに…騒動が風化するのをじっと待つ“不誠実”
女性セブン
2024年12月13日の事始め式では青いストールを巻いて現れた
《六代目山口組・司組長のファッションに注目集まる》原点は「チョイワル」コーディネート、海外高級ブランドを外商で取り寄せ、サングラスは複数用意して全身グッチ
NEWSポストセブン
新年一般参賀では、午前と午後合わせて5回、宮殿のベランダに立たれた(2025年1月、東京・千代田区。撮影/黒石あみ)
一筋縄ではいかない愛子さまの結婚問題 お相手候補に旧宮家の男系男子を推す声がある一方、天皇陛下が望まれるのは“自然に惹かれ合った形で”
女性セブン
乗客乗員181人のうち179人が死亡するという韓国の旅客機事故で最大の被害となった
韓国機事故で179名が死亡、2人の生存者が座っていた“生還しやすい座席” 相対的には「前方より後方」「窓側より通路側」「非常口付近」
女性セブン