今オフ、大型補強に動いた阿部慎之助監督率いる巨人。新戦力の目玉が5年15億円の契約でソフトバンクからFA移籍した甲斐拓也(32)だ。同じ捕手のポジションだった阿部監督が現役中に背負った背番号10をつけることになった。
入団会見では阿部監督がユニフォームを手渡し、「思い入れのある背番号でしたし、着てもらえるなら甲斐君しかいないと思っていた」と発言。
1996年に清原和博が西武から巨人に移籍した際、長嶋茂雄監督が永久欠番の「3」を譲ると打診したエピソード(清原は辞退)と重なるようにも思えるが、一方で「ミスターの時とは重みが全く違う」(スポーツジャーナリスト)との指摘がある。
「獲得には至りませんでしたが、今オフに阪神でFA宣言した大山悠輔(30)との交渉の席でも阿部監督は背番号10を提示していたんです。大山が阪神でつけている『3』が永久欠番という事情があったため。甲斐に『10』を譲るとなったのは、大山が阪神残留を決めたあとの話で甲斐にだけ“特別待遇”を用意したわけではないのです」(同前)
甲斐はソフトバンクでは南海ホークス時代に名捕手・野村克也が背負った「19」をつけていたが、巨人では準エースの山崎伊織で埋まっている。
「巨人の『10』は、張本勲、加藤英司、広澤克実と他球団から移籍してきた選手がつけた背番号。阿部監督のあとも暴行問題で日本ハムから移籍した中田翔(35)やメジャー通算196本塁打の実績で入団しながら34試合のみの出場で退団したジャスティン・スモーク(38)がつけた背番号で、そこまでありがたいわけではない」(同前)
むしろ問われるのは、「岸田行倫(28)、大城卓三(31)、小林誠司(35)の捕手3人を併用してリーグ制覇したチームでどう競争を勝ち抜くか」(同前)だ。
背番号を受け継いだからといって、それが“阿部監督の後継者”を意味するわけではない。
※週刊ポスト2025年2月7日号