「ここまで歩みを進めることができたのは、多くの方々の、支えのおかげです」──そうコメントしたのは、自身が監督した『Black Box Diaries』がアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞の候補となったジャーナリストの伊藤詩織氏(35)。日本人監督初のノミネートだが、お祝いムードに水を差す事態が起きた。
「自身が受けた性加害の顛末を記録する内容だが、『裁判以外で使用しない』と誓約したホテルの防犯カメラの映像を使用するなど、法的・倫理的に問題があると伊藤さんの元代理人弁護士が抗議しました」(社会部記者)
そんな伊藤氏だが、別の作品をめぐってもトラブルが浮上している。
「彼女が初監督を務めた『ユーパロのミチ』はクラウドファンディングで大金を集めたのに、作品が一向に完成しません」
そう訴えるのは伊藤氏の作品を支援した男性だ。
『ユーパロのミチ』は高齢化が進む北海道・夕張の今を追うドキュメンタリー。伊藤氏は2019年春にクラファンを立ち上げて250人から約530万円を集めたが、6年近く経った今も作品は未完成のままだ。
「当初は状況説明のメールが届いたが、次第に連絡が減った。2023年6月に『2024年1月に特別上映会を予定』と連絡があったが実現しませんでした。私は1万円を支援しましたが、DVDやフォトブックなどのリターンも棚上げされたままです」(同前)
2024年2月に更なる公開延期と『Black Box Diaries』の公開を告げるメールが届いて以降、連絡はないという。
「2つの作品の同時制作は構いませんが、支援を募った以上は説明責任があるはず。影響力のあるジャーナリストとして無責任ではないか」(同前)
伊藤氏のほか、プロデューサーやクラファン運営会社に再三取材を申し込んだが、期日までに返答はなかった。
作品の公開は実現するだろうか。
※週刊ポスト2025年2月14・21日号