北朝鮮の貿易代表団が昨年11月から今年1月中旬までの2カ月間、北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市に滞在し、パソコンやテレビ、ビデオデッキ、iPhoneを含む携帯電話機器のほか、冷蔵庫やレビ、洗濯機などの電化製品を大量に購入していたことが明らかになった。
ドナルド・トランプ氏が大統領就任後、中国の輸入品に10~60%の関税をかけると公言したことで、中国の製造業者が電子機器や電化製品を大幅にダンピング販売していたためで、北朝鮮代表団はトランプ氏の大統領就任の1月20日前にほぼ全員が帰国したという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
丹東市に滞在していた北朝鮮貿易代表団のメンバーはほとんどが首都・平壌市の対外貿易省勤務の幹部らで、総勢100人ほど。彼らは日ごろから付き合いがある中国の貿易会社関係者に「トランプ氏が権力の座に返り咲けば、中国製品に対する関税を引き上げる可能性が高い。中国の製造業者はできるだけ早く製品を販売するために50%以上の割引で販売すると聞いている。我々はこの機会にできるだけ製品を購入したい」と中国メーカーとの仲介を依頼した。
また、北朝鮮の貿易業者は、中国製品はもちろんのこと、中国で製造されているDellなどの米国のメーカーの製品も大量に購入したという。これらの製品の一部は平壌の高級幹部へのお土産用で、「賄賂」に使われるものもあるようだ。
電子機器のほか、北朝鮮では手に入らないテレビや電日常電化製品は「お土産」とは別に、「自分用」として購入していたという。
北朝鮮の貿易代表団にとって、トランプ氏の大統領就任は高級品を手に入れる「千載一遇のチャンス」だったといえそうだ。