デモが過熱するソウル市内(時事通信フォト)
非常戒厳をめぐり、内乱罪の容疑で逮捕された韓国の尹錫悦大統領(64)。1月26日に起訴され、今後は法廷に舞台を移すことになった。
「先に国会で可決された弾劾訴追の可否を判断する審判が憲法裁判所で始まっており、並行して刑事責任も問われることになります」(在韓ジャーナリスト)
尹氏の逮捕後、ソウル中心部では週末のたびに尹氏支持派と反対派の双方による大規模デモが繰り広げられており、参加者は大音量でシュプレヒコールを連呼。デモ現場の周辺では渋滞が頻発している。この騒動の余波を受けたのが、韓国の観光産業だった。
「ここにきて韓国を訪れる外国人観光客が減っているのです。メディアを通じて市内の緊迫した空気が伝わり、訪韓を避ける動きが広がっているようです。治安を重視する女性観光客の減少が目立つといいます」(同前)
とくに煽りを受けたのが美容整形クリニック界隈だ。大小800軒以上のクリニックが密集し、日本やアジア各国から女性観光客が多数訪れるソウル市江南区の「美容整形ストリート」の近況について、ソウル在住のライターが語る。
「戒厳令前と比べると明らかに女性観光客が減りました。とりわけ日本から訪韓する観光客は女性が6~7割とされていて、整形目的が非常に多い。
実際のところ江南で大規模なデモは行なわれていないのですが、市内の物々しい雰囲気を見て『ソウルは危ない』という認識が広がってしまったみたいです」
韓国の全国紙・中央日報も非常戒厳の発令以降、美容整形クリニックで外国人客の予約キャンセルが相次いでいると報じた。
騒動の影響は思わぬところに広がっていた。
※週刊ポスト2025年2月14・21日号