1月23日、トランプ大統領はケネディ暗殺に関連する非公開資料を機密解除する大統領令に署名した(写真=AP/AFLO)
就任直後のドナルド・トランプ大統領は1月23日、米国政府が所有する「ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件」の記録を完全公開するための大統領令に署名。関係省庁に対し、15日以内の公開計画策定が指示された。
1963年のケネディ大統領暗殺は、あまりに謎の多い事件だ。当時、事件を調査したウォーレン委員会は元海兵隊員であるリー・ハーベイ・オズワルドの“単独犯”と結論づけたが、米国でもそれを信じる人は少ない。
徹底した現地取材を経て1977年に日本で出版されてベストセラーとなったのが、国際政治ジャーナリスト・落合信彦氏の著書『二〇三九年の真実』だ。同書のタイトルは、ウォーレン委員会がまとめた報告書の証拠資料が「2039年まで非公表」とされたことに由来する。
トランプ氏は第一次政権時もこの暗殺事件の記録開示を進めたが、情報機関が一部の公開に反対。今も非公開の部分が残る。大統領に返り咲いたトランプ氏が、その全面開示に乗り出したのだ。
『二〇三九年の真実』で指摘された謎や不審点は数多くある──。
〈ダラスでの大統領パレードのルートが、直前になってビル群の建ち並ぶ“狙撃しやすいルート”に変更された疑い〉
〈80メートル離れた標的を狙い撃ったはずのオズワルドが、海兵隊時代の射撃テスト成績は合格ギリギリだった矛盾〉
〈凶器の銃が事件の20年以上前に製造が中止された旧式の「マンリカ・カルカーノ」という不審点〉
〈オズワルドは「テキサス教科書倉庫ビル」で大統領のリムジンを“斜め後ろ”から狙ったとされるのに、暗殺の瞬間を捉えた8ミリ映像「ザプルーダーフィルム」などでは、大統領が“前方”から撃たれたように見える謎〉
他にも「物理法則を無視した軌道を辿ったとされる『魔法の銃弾』の存在」「重要証人の相次ぐ変死」などが指摘された。その後、様々な検証もなされたが、まだ謎は残る。重要な証拠が75年後(=2039年)まで非公表とされたこと自体、そこに“不都合な真実”があるからだと見られてきた。