トイトイトイクリニックを運営していた医療法人社団雪焔会が、東京地裁から破産手続開始決定を受けたことがわかった(時事通信フォト)
帝国データバンクが2025年2月18日、トイトイトイクリニックを運営していた医療法人社団雪焔会が東京地裁から破産手続開始決定を受けたことを報告した。
1万9000人以上の利用者が債権者に
帝国データバンクによると、税金や従業員の支払い、借入金などに関連した債権者は200人弱で、負債額は約4億8500万円。一方で、医療脱毛を利用していて、施術や返金を受けられない状態になっている「お客様債権者数」は1万9111人であると明らかにしている。また、同法人は2023年2月期には年間収入約13億3500万円だったが、2024年2月期に約12億8000万円に減少した。この減少により利益が圧迫されたものと見られる。
ヒフコNEWSでは、2月5日に新宿医院を訪問して状況を確認していたが、同日、東京地裁に破産手続開始決定申立を行って受理されていたという告示書が入り口に貼られていた。
帝国データバンクによると、1月31日から営業停止となり、従業員も解雇された。さらに2月17日に手続開始決定を受けるに至った。
100円トライアルなどで人集め
トイトイトイクリニックは、医療脱毛でありながら、エステ脱毛のように「100円トライアル」を打ち出して、体験脱毛を積極的に進めていた。低価格をきっかけにするなどして、脱毛希望者を集めたものと見られ、3医院にとどまるにもかかわらず、1万9000人を超える利用者に影響を及ぼすことになった。
2024年12月に経営破たんしたアリシアクリニックは、全国に40店舗以上の脱毛サロンを展開し、破たん時に明らかにされた債権者が9万1818人とされていた。この中には、利用者以外も含まれるものの1店舗当たりの利用者は2000人~3000人程度と単純計算される。トイトイトイクリニックは1店舗当たり、6000~7000人程度と計算されるので、比較的多数の利用者を集めていた可能性がある。経営破たんの影響は大きいといえる。
折しも、ヒフコNEWSでも紹介しているが、エステ脱毛大手のミュゼプラチナムの経営が混乱していることが週刊文春などで報じられている。SNSではミュゼプラチナムの店舗の閉店状況が継続的に投稿されている。
脱毛サロンの置かれている状況は厳しいことが考えられ、利用を検討するときには、このような状況について情報収集することが賢明と考えられる。
参考文献
医療脱毛「100円トライアル」、トイトイトイクリニック、突然の経営破たんの背景を探る、医療法人社団雪焔会が破産手続開始決定申立、好立地、低価格アプローチでも経営破たん【編集長コラム】
医療脱毛アリシアクリニック 運営2社が破産手続開始 被害者9万人超えか、銀座カラー破綻から1年、医療脱毛にも経営破たんの動き
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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