豪華メンバーで行なわれる桂米丸師匠の追善興行(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は“超口外禁止”のライブ、そして桂米丸師匠の追善興行について綴る。
* * *
すでに17回も開催されているカンニング竹山の超口外禁止ライブ『放送禁止』。今年も3日間満員。ここで聞いたことは一切喋らない。17年間まったく漏れたことのない旬のネタ、1回だけ「ラジオで高田センセーの口から少し漏れかかったことあるんですよ。さすがオチまでは言わず寸止め」。そりゃすまないことをしたと反省する秘密のアッコちゃんライブ。
行くと隣の席が噂話大好き島崎和歌子。周りは私の古くからの知りあいのディレクター連中。当然ピーチクパーチク、チャンネル8の話。そこへ飛んで来た人が「アッコさん入ります」「エッ秘密のアッコちゃん?」「松本じゃない、大物の方の和田のアッコさんです」。すぐにやって来ましたよ。再会を喜びいざ開演すれば竹山も心得たもの、来ているであろうアッコさんをネタでいじれば客席からアッコさんが「コラーッ」。大爆笑である。感動的な取材ネタもあって「良かったネ、じゃあまた」と家へ帰る。
カミさんは私がライブに行ってるので孫のところへ。カチャリ。暗い中鍵を開けると誰もいないはずの家の闇の中から男性の低くくぐもった声が。誰かいる? おそるおそる入っていくと家電の中から「嬉しかったわ会えて。お互い若くないんだから身体だけは本当に気をつけましょうね。明日は寒いっていうから気をつけてよ。元気でやりましょう……和田アキ子でした」ガチャ。家の電話にかかってくるのはアッコかオレオレ詐欺か何年も前に死んだ兄貴ぐらいだ。丁寧すぎる大ベテランである。有難い。
昨年99歳で亡くなった桂米丸師匠の追善興行が3月1日から10日(昼)新宿末廣亭で豪華メンバーで行なわれる。米丸師の弟子には歌丸、そして存命中の米助、竹丸らがいて落語界全体に声を掛け東京の4団体も、上方からもかけつける。私と同い歳の米助、一人一人自分で電話を掛け出演依頼。えらい。最後の親孝行だな。
書ききれないので亭号は省く。1日(土)綾小路きみまろ、鶴瓶、鯉八ら。座談もあってトリは米助、竹丸ら。2日(日)八方、伯山、3日(月)小朝、三三、好楽、4日(火)志の輔、市馬、小遊三、5日(水)一之輔、文枝、昇太、6日(木)志らく、雲助、7日(金)晴の輔、さん喬、たい平、8日(土)鯉昇、木久扇、文珍、9日(日)松鯉、白鳥。10日(月)一朝、花緑、鶴光。連日20本近くのネタ。これほど豪華な顔付けは見たことがない。米助もさぞくたびれただろう。新婚だからまあいいか。
※週刊ポスト2025年3月14日号