フジテレビから豪華な生花スタンドが贈られていたものの…(左から中村鶴松、中村長三郎、中村七之助、中村勘九郎、中村勘太郎、中村虎之介)
元タレントの中居正広氏(52)が起こした女性トラブルに端を発した「フジテレビ騒動」。問題発覚後の同局の対応のまずさなどもあってCM出稿を取りやめたスポンサーは400社以上に上り、港浩一・社長および嘉納修治・会長は辞任に追い込まれる事態となった。騒動の余波は意外な場所にまで及んでいた。
毎年1月に東京・浅草公会堂で開催される「新春浅草歌舞伎」。今年は中村橋之助(29)を座頭に、市川染五郎(19)や中村鶴松(29)ら歌舞伎界期待の若手ホープらが集結した。熱心な歌舞伎ファンがこう話す。
「初日の1月2日には、中村鶴松さんへフジテレビから2段の豪華な生花スタンドが贈られており、ロビーのひときわ目立つ場所に飾られていた。スタンドは、赤い百合や黄色い花などを中心に組み立てられたカラフルなもので、その若々しさは鶴松さんのイメージにぴったりでした。
しかし、各局が中居さんの起用を見合わせ、フジテレビへの責任追及が激しくなってきた千穐楽近くになると、花は撤去され、プレートだけが他の演者に送られた胡蝶蘭の陰に隠されるように、ひっそりと置かれていたのです」
鶴松といえば、3歳の時に子役として一般家庭から歌舞伎界入り。18代目中村勘三郎さん(享年57)の部屋子となり、中村勘九郎(43)・七之助(41)兄弟と勘三郎さん亡き後の中村屋を盛り立ててきた。古参の中村屋ファンはこう語る。
「眉目秀麗で、立役から女形、三毛猫など人間以外の役までこなす人気者です。最近では、歌舞伎の舞台だけではなく、バラエティやドラマなどにも活躍の幅を広げています」
なぜフジテレビは鶴松に花を贈ったのか。ベテラン演芸記者はこう解説する。
「フジテレビは、35年間にわたり中村屋に密着したドキュメンタリー番組を制作しており、勘三郎さんが息子のように可愛がっていた鶴松は“3人目のせがれ”として同番組に出演を続けています。それだけではなく、同局のドラマ『心霊内科医 稲生知性』シリーズに重要な役として出演するなど、関係が深い。そのため、彼にフジテレビから花が贈られたのでしょう」
撤去に至る経緯について松竹に聞くと、こう答えた。
「本公演にお贈りいただきましたお花につきましては、公演期間が約ひと月に及ぶことから生育の状況を見ながら、状態に応じて随時展示から外させていただき、その後は立て札のみを引き続き展示する対応を例年取っております。フジテレビ様からのお花につきましても同様でございますが、今回は1月10日終演後に展示から外させていただいております」
鶴松の所属事務所は、「10日までフジのお花はありましたが、枯れたのでプレートだけにしました。お花は2階に飾っていたのですが、プレートになったので、4階の別の場所に、他のお花のプレートと一緒の場所に移しました」と回答した。
フジテレビ騒動のネタ枯れはまだ先のようだ。
※週刊ポスト2025年3月14日号