デビュー10年を迎えた今田美桜にインタビュー
俳優の今田美桜が今年、デビュー10年を迎えた。「もう28歳になるんですよ」──3月5日の誕生日を目前にそう微笑む彼女の表情は、ドラマに初出演した17歳の頃の印象を残しながらも、キャリアを重ねた自信をのぞかせた。3月末から始まるNHK連続テレビ小説『あんぱん』の主演を控え、公開中の劇場版『トリリオンゲーム』にも出演するなど飛躍を遂げている今田に、俳優としての心境を訊いた。
福岡の高校生だった17歳の時、ドラマと映画に初出演。19歳で「俳優になりたい」と強く思い、上京した。
「20代前半は考える間もなく明日のことに一生懸命すぎて、勢いで走ってきた感があります。そこから徐々に、徐々に、先のことを考える時間を作れるようなゆとりが出てきました。経験を積んだからこそ、些細なことが気になって敏感になった時期もありました。ですが日々を重ねることで、悩むことも必要なことだと自分を肯定して、何事もポジティブに変換できるようにもなってきました。最近になって心の持ちようがラクな方向へシフトしてきているのを感じています」(今田、以下同)
近作の劇場版『トリリオンゲーム』では野心家の令嬢・黒龍キリカ役で存在感を発揮している。ドラマ版から演じているキリカ役の変化と役作りについて振り返る。
「キリカは巨大企業の創業者の令嬢であり、自分自身も経営者のキャリアウーマンです。ファッションが好きで、どんなハイブランドもキリカならではのセンスで着こなします。あのファッションを着慣れている“日常感”を出すことは大きな課題で、ドラマシリーズからこつこつと積み重ねてきたことが映画でも生きたと思います。キリカを演じる時には姿勢を正して堂々とし、手の位置や重ねかたも上品に、長い爪が美しく見えるように指先まで気を遣うなど、全身を意識しています」
ただ、ドラマ撮影の時に、キリカのファッションに疑問があったと今田は笑う。
「仕事ができる凄腕なビジネスウーマンなのに、いつもバッグがちっちゃいのが疑問で(笑)。書類やパソコンなどの仕事道具はどうしているんだろうと、ドラマの制作スタッフの方々と相談をして、秘書の長瀬(竹財輝之助)に持たせている設定に落ち着き、ようやくすっきりしました。それだけファッションを大事にしていて、どんな時もおしゃれを楽しんでいるんです。そうした細かいところを深く追求していくのも、キリカを演じて面白かったです」
キリカといえば、足元はハイヒール。公開初日の舞台挨拶ではキリカをイメージした衣装を身にまとい、劇中と同様、15cmのヒールで引き締まった美脚を披露した。
「この高さのヒールを履き続けていたので、撮影中は“キリカ筋”というか(笑)、ふくらはぎの筋肉が引き締まったんです。お芝居をしながら自然に鍛えられて、一石二鳥でした」