北朝鮮労働者の平均月収に比べると驚異的に高額(金正恩氏。写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮における最高峰の名門大学、金日成総合大学に私費で留学する中国人学生の1年間の学費が、3500米ドルから4000ドル(約52万5千円~60万円)であることが明らかになった。
北朝鮮の労働者の平均月収は約3万朝鮮ウォン(約510円)といわれており、同大の授業料の4000ドルは驚異的な高額といえる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
これは、今年3月から同大の言語学専門の大学院に入学する中国人留学生が、首都・平壌から自身のSNSで報告したもの。2月下旬に北京市内の朝鮮人民共和国大使館の教育参事局で授業料4000ドルを現金で支払っており、「4000USドル」と書かれた領収書の写真も添付している。
この留学生が平壌で会った遼寧省瀋陽市から来た中国人学生は同大の政治経済学部に入学することになっており、やはり北京の北朝鮮大使館で「3500USドル」を支払ったことを示す領収書を所持していた。
金日成総合大学で学ぶ外国人留学生は、その95%が中国人学生といわれ、そのほかは、ラオスやカンボジア、ベトナムなど東南アジアからの留学生が主だ。北朝鮮は米国と韓国の留学生は受け入れていない。
中国人留学生の場合、私費留学生以外は中国政府が派遣する「中国政府奨学生」であり、在北朝鮮中国大使館のホームページが昨年5月に公開したものによれば、昨年度の政府奨学生は41人で、「コロナ禍初めて北朝鮮に入国した外国人留学生」だったという。彼らは学費や寮費を中国政府が支払っているのに加え、中国政府や北朝鮮政府からも学業支援金が特別に支給されているという。
これに対して、昨年度の中国人の私費留学生は45人で、学費に加え、食費などを含む学生寮費の1日15ドル(約2250円)も自費となり、政府奨学生のような特別な支援金は支給されていないという。