美容医療の業界ガイドライン作り研究が4月に始まる(写真/イメージマート)
美容医療の業界ガイドライン策定をめぐって、2025年4月、厚生労働省の研究が開始される。
厚労省の検討会の方針が形になる
・美容医療のトラブル増加:厚労省が2024年に「美容医療の適切な実施に関する検討会」を開催し、安全と質の向上に向けた対策を検討。
・業界ガイドラインの策定:既存の美容医療診療指針に加え、施術だけでなく説明方法や体制整備など幅広い課題を含む新たなガイドラインを策定予定。
・説明や診療体制の明確化:カウンセラーが医師に代わって面談や治療方針を決める問題、無資格者による診察・施術などの医師法違反への対策もガイドラインの重要な目的。
2024年、厚労省が「美容医療の適切な実施に関する検討会」を開催し、美容医療のトラブルの増加を踏まえ、安全と質の向上に向けた対策を検討してきた。
その大きな柱の一つが、美容医療の業界ガイドラインを作ることである。
既に美容医療の関連学会の協力によって、美容医療診療指針が発行されている。美容医療診療指針は、シミ、シワ、たるみ、豊胸、脂肪吸引など、美容医療で一般的に行われている施術の有効性や安全性について推奨度を示したものである。美容医療の施術そのものについてのガイドラインであるのが特徴だ。
一方で、これから作られるガイドラインは、施術そのものに加え、より幅広い課題を検討した内容になる見通しだ。これは厚労省の検討会で示された質の向上に関する方針である。
例えば、質の向上という観点から、美容医療を利用する人たちに対する説明方法のルールを明確にする可能性がある。
美容医療業界では、施術に当たり、カウンセラーが前面に立って医師ではなく面談や治療方針の決定を行うケースが問題視された。中には、カウンセラーや受付が診察をしたり、施術をしたりする医師法違反も厚労省に報告されている。
このような異常な状況を正すことが業界ガイドラインの役割である。
2年間の研究が進められる
・美容医療の業界ガイドライン策定のための研究開始: 厚生労働省による「美容医療の適切な実施に係るガイドライン策定及び公的報告制度の報告項目の適切な確立のための研究」が2025年4月から2年間の計画で進行。
・研究班による検討:美容医療に関する専門の研究班がガイドラインや報告制度の詳細を検討。
・資格制度との関係:今後創設予定の新たな資格制度についても、業界ガイドライン策定とあわせて役割が検討される見込み。
こうした中で、美容医療の業界ガイドライン作りのための厚生労働省の研究が開始される。
研究の名称は、「美容医療の適切な実施に係るガイドライン策定及び公的報告制度の報告項目の適切な確立のための研究」である。2025年4月から着手され、2年間の計画で進められる。美容医療に関する研究班が検討する。
既に伝えたように、新たな資格制度が作られる方向であり、業界ガイドライン作りの中でその資格の役割も検討されると見られる。
参考文献
厚生労働省、美容医療7つの対応策、検討会がまとめる、2025年からガイドライン整備、直美の検討は別会議で継続、「美容医療の適切な実施に関する検討会」報告書案
美容医療関係者に新しい資格制度を発足へ、幅広い職種が対象の見通し、1月設立の日本美容医療総合学会が準備、美容医療の安全安心につながることが求められる
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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