平壌支局が5年ぶりに業務再開となった背景は(写真は金正恩氏/時事通信フォト)
北朝鮮政府はこのほど、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)中央常任委員会機関紙「朝鮮新報」や、中国共産党機関紙「人民日報」、中国国営中国中央テレビ局に対して、平壌支局での業務再開を許可したことが明らかになった。
しかし、これに対して、平壌支局を開設していた米国のAP通信社やフランスのAFP通信など西側諸国の報道機関の平壌支局再開のめどは立っていないという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
朝鮮新報は「わが平壌支局は5年ぶりに業務を再開し、予期せぬ悪性の病気の流行による不幸な一時停止期間を終えた」と発表した。また、人民日報など中国のジャーナリストも2月27日に北朝鮮に入国し、王亜軍・駐北朝鮮中国大使らと懇談したという。
北朝鮮にはAP、AFP通信の他に日本の共同通信も支局を置いているが、北朝鮮メディアはこれら西側メディアの受け入れ再開については報じていない。
北朝鮮で活動する外国メディアは、政権による厳しい規制により報道内容が制限されているのに加え、特派員は当局によって常に監視され、その動きは厳しく管理されている。
北朝鮮は2月、5年ぶりに外国人の団体観光旅行の受け入れを再開したが、その再開からわずか3週間で再び閉鎖に踏み切っている。外国人旅行者が入国することで、北朝鮮兵士のウクライナ派兵の実態などが一般市民に知られることを恐れているとの観測も出ているが、真偽は不明だ。
さらに、AP通信などの西側諸国のメディアの受け入れを再開すれば、ロシアによるウクライナ侵攻の詳しい戦況や、派遣されている朝鮮人民軍の敗走ぶり、数多くの捕虜が出ているといった情報が一般市民に一気に広がる可能性があり、当局はこのことを警戒しているとの見方も出ている。