大の里の昇進をめぐっては悩ましい問題も(時事通信フォト)
豊昇龍が30年ぶりとなる新横綱初日黒星を喫する波乱の幕開けとなった春場所。関係者の間で新横綱を凌ぐ注目を集めているのが大関・大の里だ。
「人気・注目度のバロメーターになるのが力士を指名した『懸賞』の本数です。今場所は大の里の164本が最も多く、新横綱・豊昇龍の157本を上回っている。やはり、日本出身横綱への期待が大きいのでしょう」(協会関係者)
大の里が近い将来に横綱昇進を果たせるかは角界関係者の重大関心事となっている。
「10月15日から5日間の予定でロンドン公演がある。協会としては、それまでに大の里に昇進してもらって、日本出身力士も含めた東西の横綱が揃い踏みする状況としたいところでしょう」(同前)
ただ、大の里の昇進をめぐっては悩ましい問題もつきまとう。ある若手親方はこう語る。
「人気が高くて懸賞が多いと、懸賞金を狙って相手力士が全力でぶつかってくるなかで勝ち続けなければならない。また、大の里が所属する二所ノ関部屋で未成年飲酒やイジメ騒動が報じられ、処分をどうするかという問題が横たわっていることに加え、“大関不在危機”も大きい。
もうひとりの大関・琴櫻はカド番なのに序盤で早々に3敗。負け越して陥落すれば、来場所は大の里がひとり大関です。そこで大の里が昇進すると“大関ゼロ”になってしまい、この世界ではあってはいけないこと。そういう番付にするには文句なしの2場所連続優勝での昇進が必要になるが、ガチンコ全盛時代にハードルは高い」
師匠・稀勢の里以来の日本出身横綱となるには、まだ道は険しそうだ。
※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号