空腹をしのぐために装備を売る兵士も(写真は金正恩氏/時事通信フォト)
北朝鮮の朝鮮人民軍内部では2月から3月にかけて、入隊時に兵士に支給されている戦闘装備や軍服、野営時に使う飯盒などの軍装備品の抜き打ち検査が行われていたことが明らかになった。軍内では予算不足で、朝と夜の2回しか食事が出されず、それも少量なので、空腹に耐えかねた兵士が装備を売った金で食糧品を買って飢えをしのいでいるという。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。
朝鮮人民軍では入隊時に、兵士に武器や弾薬などの戦闘装備に加えて、装甲ヘルメットや個人用テント、軍用(野外)の飯盒や水筒、米袋、緊急用品などが一式入った戦闘備品袋が支給されている。
兵士は通常、訓練中に武器やその他の戦闘装備を使用するが、これらの個人の戦闘装備の備品は野外演習以外、ほとんど使用しないことから、特に給料が低い若い兵士はこれらの装備品を売って、糊口を凌いでいるという。
軍が支給する軍用品は、一般的に通常の商品よりも品質が高いとされ、特に飯盒や水筒、個人用テント、あるいは軍用ショベルなどは携帯に便利なので、高く売れるという。
しかし、これらの軍用品が売りに出されているという情報が軍上層部に伝わってきたため、特に地方の軍部隊で抜き打ちの検査が行われた。兵士全員が練兵場に集められ、指揮官などが武器や個人装備などのすべての戦闘装備の存在と保管状況を小隊ごとに点検したという。
この点検で軍用品を売っていた兵士は給与支給停止などの厳しい処分を受けたというが、北朝鮮をとりまく国際情勢は依然厳しく、軍隊であっても毎日の食事にも事欠くような状況が改善する見込みは遠そうだ。