工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
「絶対優勝して喜ばせてあげたいと思っていた」──有償インタビューで父に向け、涙ながらにそう語ったのは女子プロゴルファーの工藤遥加(32)。
苦節15年、女子プロゴルフツアー『アクサレディス』で悲願の初優勝に輝いた。父は元プロ野球選手の工藤公康氏(61)だ。
「彼女は身長171cmと恵まれた体格の持ち主。“飛ばし屋”のひとりですが、ウェッジやバンカーなど小技を苦手としており安定感を欠いていた」(ゴルフ担当記者)
シード権もなく今大会は主催者推薦から駆け上がった。プロゴルファーの沼沢聖一氏が語る。
「集中力が素晴らしかった。ピンチで際どいパットを決め、良い流れを引き寄せた。これまでも何度か上位に来たが、そのたびに“工藤公康の娘”と注目されプレッシャーからか勝ち切れなかった。今後はツアーの台風の目になるかもしれない」
ゴルフ好きの父の影響で12歳でクラブを握り、高校卒業後の2011年のプロテストに一発合格。将来を嘱望されたが結果が出ず、年間獲得賞金が30万円(2016年)、74万円(2018年)と苦しい年もあった。
公康氏はそんな彼女をサポートし続けてきた。
「子供の頃からゴルフだけでなく、礼儀や挨拶について非常に厳しく指導していたそうです。でもそんな父をアスリートの大先輩として尊敬していた。ツアーで結果が出ず悩んでいた彼女は、30歳になる直前の2022年オフにソフトバンクの監督を退任した父に頭を下げ、“勝ち方を教えてほしい”とコーチとして指導を受けることになった。
プレー方針では合わないところもあり、途中でコーチからアドバイザーに関係は変わりましたが、ずっと彼女をそばで支えてきた。今回の優勝を本当に喜んでいるそうです」(同前)
現役生活29年で224勝を挙げた父のように、勝利を積み重ねられるか。
※週刊ポスト2025年4月18・25日号