国際情報

アムネスティ・インターナショナルがスイスに香港支部を設立 2021年に閉鎖した事務所を海外で再建、人権状況の悪化に対応

香港の事務所を閉鎖していたアムネスティがスイスに香港海外支部を設立

中国の圧力により香港事務所を閉鎖していたアムネスティがスイスに香港海外支部を設立

 国際的な人権団体、アムネスティ・インターナショナルは2021年に民主化運動に対する抑圧的な動きが強化されていた香港の事務所を閉鎖していたが、今月15日、スイスにアムネスティの香港海外支部を設立したと発表した。

 アムネスティが現地の事務所を閉じて、担当者が「亡命」する形で海外に支部を再建し、活動するのは香港支部が初めてのケースという。これは香港の人権状況が悪化しており、職員が域内から強制退去させられたり、あるいは身柄を拘束されたりする事態を避けるためだ。

 香港海外支部のメンバーは10人で、かつて香港支部で活動し、その後英国、米国、カナダ、オーストラリア、台湾で活動していた要員が復帰することになった。

 香港では2019年の学生や市民を中心とした民主化運動である「雨傘運動」以降、抗議活動に関連する行為で学生を中心とする1万人以上が逮捕され、このうち300人以上が「国家の安全を危険にさらす行為」の疑いで起訴、投獄されている。

 アムネスティのアグネス・カラマール事務総長は「アムネスティの香港海外支部は、私たちが直面する課題が何であれ人権を守る、という私たちの決意を示している。この『亡命』という形式で設立された新しい支部の誕生は、香港内外での権威主義的な脅威に対抗するための重要な役割を果たすことになる」と述べている。

 アムネスティは現在、中国本土やロシア、北朝鮮など人権状況が極めて悪化している国々では活動できないが、今回の「亡命」という形で香港海外支部が設立されたことで、成果を上げることができれば、中国などの国々の「アムネスティ亡命支部」の誕生にもつながる可能性があるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン