北朝鮮でも深刻な物価高(写真は金正恩氏/時事通信フォト)
北朝鮮では慢性的な食料や日常品などの供給不足のなか、中国人民元や米ドルに対する北朝鮮ウォンの実勢価格下落が拍車をかけて、この2年間で卵、砂糖、豚肉、米、食用油などの食料や生活必需品の価格が2倍から5倍に跳ね上がっている。そのため、市民は現金をバックパックに詰め混んで買い物をおこなっているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮は基本的に政府が物品の価格を決める統制経済を敷いているが、モノ不足で政府からの配給では必要な食糧などがそろわないため、市民は「ジャンマダン」と呼ばれる非公認の自由市場で買い物をせざるを得ない状況だ。
この自由市場では、料理に使われるひまわり油1キログラムがこの2年間で約3倍の7万ウォン(約1200円)に値上がりしているほか、砂糖1キログラムは4倍の4万ウォン(640円)、豚肉1キログラムは3倍以上の8万7000ウォン(約1400円)に跳ね上がっているなど、値段が急騰している。
単純な比較は難しいが、日本以上の高騰ぶりだ。
北朝鮮では日常の取引に1000ウォン紙幣がよく使われるため、1キログラムの砂糖を買うには、40枚の1000ウォン紙幣が必要になる計算だ。小額の紙幣で払うとなればさらに多くの枚数を用意しなければならない。それだけの枚数の紙幣が入る財布はなく、市民は買い物の際、バックパックに紙幣を詰め込むことになっているという。
靴などの価格も急騰している。新義州製靴工場で作られたスニーカーは2年ほど前は1足1万9800ウォンで売られていたが、今では17万ウォンで取引されているという。