芸能

高田文夫氏が解説する“大阪芸人たちのCD” 故・月亭可朝の古典五席『ロイヤルストレートフラッシュ』、嘉門タツオ『至福の楽園』、立川吉笑『落語傑作選』

CDで聴く大阪の芸人たちのネタ(イラスト/佐野文二郎)

CDで聴く大阪芸人たちのネタ(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、関西・大阪万博の開幕に合わせて、CDで聴く、大阪の芸人たちのネタについて。

 * * *
「よっこいしょ」とカバンを降ろし、たった今仙台から帰ってきたところ。今回は「オール日芸寄席in仙台」と題して宮藤官九郎センセを帯同して「クドカン凱旋公演」の趣。最強の後輩達は志らく、白鳥、一之輔。気の合う一味と1泊2日、76歳にしてまだまだ舞台ではじけるこの私。さてと……この一座、秋は何処へ行くかな。お楽しみ。

 仙台の話を書いてる場合ではない、あと数日で関西万博なのだ。大丈夫なのか。『世界の国からこんにちは』、三波春夫先生の歌声も聞こえてこないけど。55年前、私も大学4年の時に“運のツキの石”見たわ。

 さぁそこで大阪の芸人達も元気だ。前の万博の頃、大阪の“爆笑三羽烏”といえば「仁鶴・三枝(今の文枝)・可朝」であった。“浪花の怪人”月亭可朝と言えばギターにカンカン帽で『嘆きのボイン』。コンプラも天ぷらもない時代だった。可朝といえば「ボイン」と「博奕」と突然の「立候補」。談志が立候補したので応援を頼まれ東京へむかう途中、ふと気がついて「何で人の応援せにゃならんのよ。オレも立候補しよう」そのまま手続き。公約が「赤線復活」「銭湯の男湯と女湯の境を無くそう」。受かるか!

 2018年に80歳で亡くなったその可朝がCDで復活した。たしか限定30枚(?)くらいのレアなものだから探すのが大変だがお好きな方はどうぞ。キチンと古典が五席。「坊主茶屋」「住吉駕籠」ほか。得意の古典五席(手札)が揃ったのでCDタイトルが『ロイヤルストレートフラッシュ』という訳。イヨッバクチ打ち!

 次なる関西万博は、替え歌王でもある嘉門タツオの新CD『至福の楽園』。この多作ぶりにはあきれる。『鼻から牛乳 令和篇』なんてのから大好きな万博を歌った『大阪・関西万博エキスポ』。元々は噺家だった嘉門だがたて続けに笑瓶、雀々と仲間を失なった。そこで曲も作って録音『バイバイ笑瓶ちゃん』。みな早逝して人生のオチがうまく行かなかった仲間達である。

 もう一枚は京都に生まれ枝雀に憧れ、東京へ来て立川談笑門下、吉笑となりこの度真打昇進。この男、新作に対する才能は只ならぬものがある。六席入った『立川吉笑落語傑作選』をきいてみるがよい。「真打昇進披露興行in高円寺」は10日間。座・高円寺1にて6月24日(ゲスト志の輔)より。私と神田伯山が出るのは6月30日。7月2日は昇太、3日は談春が各々応援出演します。期待の星。

※週刊ポスト2025年5月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン