年々活況を呈す(PRする自治体職員ら、時事通信フォト)
須永は大学卒業後、アルバイトや派遣社員として会社を転々とし、ITベンチャー企業でサイト立ち上げ事業に携わって38歳で独立する。2012年4月、トラストバンクを設立し9月にふるさとチョイスを開設した。自治体に売り込んで寄付額を飛躍的に伸ばし、日本中にブームを巻き起こす。
ふるさと納税はこの間、制度も変わった。寄付に対する控除の下限である自己負担分が11年以降5000円から2000円に引き下げられたことが大きかった。
そしてふるさとチョイス開設から3か月後の2012年12月、第二次安倍晋三政権が発足。官房長官に就任した菅は再びふるさと納税に力を入れた。そこに協力したのが、須永である。
「ふるさと納税は須永さんがいればこそ、あそこまで大きくなったといえます。それまで自治体の口コミでしか広がりはなかったが、ふるさとチョイスの登場により、サイトに載せれば寄付が集まるようになったのです」
ある自治体の担当者はこう話す。
「菅さんも彼女にぞっこんで、総務省の有識者会議にも彼女を入れた。会議は彼女がいなければ成り立ちませんでした。ふるさとチョイスの扱い量はピーク時のシェアで寄付額全体の7~8割に達し、どこの自治体も彼女に取り入ってサイトのいい場所に自分のところの返礼品を載せてもらおうと、須永詣でを繰り返してきました」(同前)
ふるさと納税がネット通販のような扱いになったのもここからだ。ふるさとチョイスの開設翌2013年度の寄付件数は前年比3.5倍の42万7000件に急増。金額にして145億6000万円に跳ね上がった。
「ふるさとチョイスでは毎年秋、東京ビッグサイトやパシフィコ横浜で大感謝祭というイベントを主催してきました。そこには100を超える自治体がブースを設置し、地元の名産をPRするのですが、須永さんに対する機嫌取りみたいなもの。菅さんも官房長官として毎年、駆け付けて挨拶をしてきました。今年はコロナで中止になったけど、オンラインでやっていました」(同前・自治体の担当者)