染色体の先端についているテロメアのイメージ図

染色体の先端についているテロメアのイメージ図

 老化細胞が蓄積し、発症するのは動脈硬化だけではない。最近の研究では過食などのストレスによって、内臓脂肪に老化細胞が蓄積、その蓄積した老化細胞が糖尿病の発症や進展に関わっていることが明らかになってきている。例えば内臓脂肪から、TNF-αなどの炎症性サイトカインが分泌されることにより、インスリン抵抗性や高血糖、心不全が引き起こされる。

「老化細胞には様々な種類があります。血管内に溜まる老化細胞、内臓脂肪に溜まっている老化細胞、心臓、腎臓、肝臓などの臓器にも、それぞれ性質の違う老化細胞が蓄積します。私は蓄積した老化細胞を取り除くことで、病気を根本から治療できるのではないかと考えています。それが老化細胞除去治療(セノリシス)です。現在はまだマウス実験の段階ですが、老化細胞を除去するワクチン開発を進めています」(南野教授)

 南野教授は大阪大学と共同で、老化細胞に特異的に発現しているSAGPという老化抗原を標的としたワクチンを開発中だ。これを肥満マウスに注射したところ、腹部に溜まった老化細胞が減り、血糖値も下がり、動脈硬化の改善が見られたという。

 2、3年後にヒトへの臨床試験がスタートする予定だ。

取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2020年12月25日号

南野徹 順天堂大学大学院循環器内科教授

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