大谷の「手」を見て、金田さんが気づいたこと
金田:手を見せてごらん。(右手の人差し指と中指の根元にあるタコを見て)これはバッティングダコか?
大谷:そうです。
金田:ピッチャーをするには、こういったタコはピッチングの邪魔になるからな。投げる手のひらに不純物をつけてはいかん。ボールを握ったり投げたりする時に指の感覚が鈍る。右投げ右打ちならまだしも、右投げ左打ちでは引っ張ろうとするから右手にマメやタコができる。硬くなると割れたり傷になったりする。爪の手入れも重要だし、ピッチャーは野手と違って繊細なんだよ。
大谷:ハイ。
金田:投げている時と打っている時ではどっちが楽しい?
大谷:やはりゲームはピッチャーが作るものだと思っているのでピッチャーにはそういう楽しさはありますし、バッターは自分のバットでゲームを決めなくてはいけない楽しさがある。違う意味でどちらも楽しさはあります。
金田:超一流の答えだな。素晴らしい。これから悪い“オネエ”につかまらないようにしないとな。
大谷:アッハハハハ、気をつけます。
金田:ワシのようにな。
大谷:アッハハハハ。
対談を終えた金田さんは大谷について「頭が良くて面白いし、何より明るい。本当にいい子だ」と振り返っていた。大谷のナイスガイぶりは400勝投手のレジェンドをも魅了したようだった。その後、2016年に大谷が通算38本塁打となって金田さんの記録に並んだ時には「投手で打った本塁打と、DHで打った本塁打を区別するのが先人への敬意というものだ」とプライドを見せる談話を寄せていたが、その一方で「ワシの記録を抜けるのは大谷しかいない」と投手として大谷を認めていた。海を渡った大谷の投打にわたる活躍を見たら、金田さんはなんとコメントしていただろうか。