テレビ東京からフジテレビへの“移籍”
ちなみに島本はテレビ東京からフジテレビに中途入社した異色の経歴の持ち主だ。テレビ東京では佐久間宣行の1期先輩にあたり、2006年にフジテレビによる「スペシャリスト採用」に応募して“移籍”した。
「フジテレビのディレクターはどんなに遅くなっても泊まらずに帰るのがカッコいいんですとチーフADに言われて驚きましたね。テレビ東京で演出してた時は仮眠室か会議室のイスを並べて寝ていましたから。
僕がいた頃のテレ東はプロデューサーに決定権が多くあったんですけど、フジテレビは圧倒的に演出主導というのが大きく違っていました」
『カノッサの屈辱』『トリビアの泉』フジ伝統のサブカル系エンタメ番組の系譜
『私のバカせまい史』を見ていると、かつてのフジテレビの深夜枠「JOCX-TV2」で放送されていた『カノッサの屈辱』を始めとする番組や、2000年代の看板番組『トリビアの泉』など、バカバカしくもアカデミックなサブカル系エンタメ番組の系譜を感じる。実際、『トリビアの泉』を企画立案した作家・酒井健作も途中から番組に加入している。特定の研究を担当するのではなく、研究の発案と番組トータルを俯瞰で見る役割を担っているという。
こうした系譜を意識しているのだろうか。
「それは僕も、加藤もあまり意識はしていなかったですね。周りに『カノッサの屈辱』みたいだねって言われて、そうかと思ったくらいで。僕はどちらかというと歴史や人物史をどうエンタメとして見せられるかっていう命題と向き合って番組を作っています」