女性セブンの名物記者・オバ記者(55才)がフランス料理店「銀座レカン」のシェフソムリエ、大越基裕さんにワインを学ぶ。白ワイン2本と赤ワイン1本のテイスティングに挑戦。果たしてオバ記者はソムリエになれたのだろうか? 以下はオバ記者によるレポートだ。
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ワインの試飲なら任せて…と言いたいところだけど、フランスで3年間修業したソムリエ、大越基裕さんの前では急に自信がしぼむ。
「ボルドーの白“ドゥルト”と“キュヴェ”ですが、“ドゥルト”は香りに熟成した雰囲気が出ていますね」
大越さんの、ワイングラスを持つ手の美しいこと。
「嗅ぎ方はこれでいいですか? あ、回すの忘れた」
グラスの中に鼻ごと突っ込みながらアタフタのオバ。
「最初は回しません。グラスをそっと持ち上げて香りを嗅ぐと果実の香りがふわぁと上がってきます。それからグラスを回して空気に触れさせると香りが少し強くなったり、華やかさ、花のような香りがグッと増したりします。ワインによって違う、立ち上ってくる香りの変化を楽しんでいただきたいです」
大越さんのマネして鼻いっぱいに吸い込み、口に含んでみたものの、違いが微妙すぎ。
「この2本、似てます?」
そう言ったとたん、大越さんの目が光った。
「“ドゥルト”のほうが香りにボリューム感があるというか、グレープフルーツ的な果実の香りをより熟した感じがします。さらに、明確な樽のニュアンスも。“キュヴェ”はぶどう種ソーヴィニヨン・ブラン由来の果実感や、グレープフルーツ系の香りとパッションフルーツのような果実の雰囲気がいっしょに上がってくるのが特徴。酸味もほどよく、フレッシュです」
必死でメモを取り試飲できない編集Oくんはチンプンカンプン。でもオバは、鼻と舌から言葉がカラダにじゅわっと。で、お勧めの料理は何?
「ボルドーの白ワインは塩味を帯びていますね。魚介に合わせることが多い。そこに樽の香りが帯びたものだと火を入れた料理がいい。野菜の天ぷらや鮎の塩焼きが合います」
つづいて赤ワインに挑戦。
「もしかして、これ、きんぴらごぼうと合いませんか!」
この赤ワインを口に入れたと同時にごぼうの味がはっきり浮かんだオバに、大越さんが大きくうなずいてくれた。
「ふふふ。カシスの香りがあって、確かに根菜の香りがあります。ほんの少しの青い香りがきんぴらごぼうを連想させるのかもしれません」
「きんぴらに山椒を入れたい」
「悪くないと思いますよ。山椒のスパイシーな感じを入れたり、豚肉を入れてもいい」
カベルネ・ソーヴィニヨンというぶどう種は、タンニンが多く含まれているので料理の対応範囲が大きいそう。タンニンというのは渋みのことらしい。要はタフなワインってこと?
それにしても解せないのがソムリエの舌だ。過去に飲んだワインを記憶できるだけでも驚異なのに、どこ産のぶどうで作ったかまで判別できるなんて…。
「味を感覚だけでとらえていたら覚えられません。色合いと香り、そして、味わいのポイントを決めて理論的に覚えるんです」
「おいしいワイン」って言い方しているうちはダメなのね。
【オバ記者がテイスティングしたワイン】
<白>ドゥルト・ルメロ・アン・ブラン2006 2340円/メルシャン(写真右)
<白>キュヴェ・クレマンス・ブラン2009 2100円/日本リカー(写真左)
<赤>エラスリス エステート カベルネソーヴィニヨン2011 1575円/ヴァンパッシオン
※女性セブン2012年10月18日号