6月は「男女雇用機会均等月間」(厚生労働省)である。男女雇用機会均等法などによって女性の働く環境は広がり、性別の区別なく多くの女性が活躍の場を得ている。その一方で、主に女性を対象にした性的な嫌がらせ「セクシャルハラスメント」(以下、セクハラ)が後を絶たなかったり、「育休3年化」「女性手帳」が話題を集めるなど、女性のキャリアプラン・ライフプランを取り巻く環境は、まだまだ複雑な要素が多いことも現実だ。
5月27・28日10:00~19:00「働く女性」をテーマにした、全国一斉労働相談ダイヤル(0120-154-052)を実施する日本労働組合総連合会(連合)で、女性の労働問題に詳しい担当者・中島圭子さんと村上陽子さんに、昨今の問題点などについて話を聞いた。
「多くの人にセクハラが社会問題として認知されているのに、均等室(労働局雇用均等室)への相談数1位はセクハラ問題です。一定規模以上の企業であれば、研修や文書通達などきちんとした指導がされていますが、一部の中小企業等ではそういった指導ができていないだけでなく、経営者自身がセクハラ・パワハラの加害者であるケースも少なくありません。
また被害を受けている人が、なかなか相談できないというケースも。セクハラは当事者間の解決が難しいトラブルなので、行政の窓口など第三者の適切な支援者に、早めに相談することが大切です」(中島さん)
■セクハラへの対策や牽制
セクハラ被害に遭った場合、“きちんと話を聞いてもらえるのか、恥ずかしい思いをするのではないか”など、被害者側は不安や抵抗感があるため、表沙汰にならないケースも多い。
「セクハラは被害者の心身を傷つける行為で、酷い場合には損害賠償請求できるケースもあります。会社への相談でも訴訟でも、記録を残すことが大事。“いつ、どこで、何をされたか”といったメモを残す、ICレコーダーや携帯での録音、特に効果的なのは誘いや口説きメールを保存することです。“言った、言わない”が争いになることはありますが、メールなどの場合は記録として証拠になります」(村上さん)
またセクハラ被害に遭わないために、できる対策のひとつが「普段からの牽制」だと中島さんは言う。「自己防衛として“セクハラしたら、ヤバイ相手”と思わせるのも手。軽度でもイヤだなと思うことをされたら、冗談っぽく言う形でも『セクハラで、訴えちゃいますよ!』と言ったり、“セクハラ相談窓口を知っている”とさり気なく相手にわかるように口にするのも牽制になりますよ」