子供たちの発想した絵やセリフ、アイデアを繋ぎ、それをプロの映像作家たちが監督して、1本の映画を製作。来年2月の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」での上映を目指す――という取り組みが進行している。
「人の心を動かすには、リアルなストーリーのほうが容易で、飛んだ発想であればあるほど難しい。今回のプロジェクトは子供たちの自由な発想がベースになるので、ハードルは高いですね」と話すのは、2011年に制作したサカナクション「バッハの旋律を夜に聴いたせいです」のミュージックビデオで「MVA-SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS」のベスト・ビデオ・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、今最も勢いのある映像作家の1人である田中裕介氏だ。
プロフェッショナルなクリエイター同士の相乗効果で、作品の質を高めていくイメージの田中氏が、子供たちとどんな作品を生み出すのか? 全国4か所で開催される、ワークショップの初回を取材した。
まずワークショップでは、小学3~6年生・約25人の子供たちがスタッフのサポートを受けながら、ストーリーの元となる「物語の“種”」を考え、キャラクターを選び、絵にまとめていく作業が進む。
「もしも世界中の人が毎日1億円もらえたら……」
「もしもひげが蕎麦になったら……」
「もしも蟻が大きくて、虫メガネで見ると小さく見えたら……」など、子供たちからは、田中氏をはじめとする映像のプロたちも舌を巻くような発想が、次々と発表されていく。
このプロジェクトをサポートしているのは、「ソーシャル知育」をコンセプトに、子供たちが繋がりを体験しながら、「未来をつくるチカラ」を育てることを応援する「ドリームリレー・ムービー by CREATE THE FUTURE PROJECT」(主催:トヨタマーケティングジャパン「トヨタ エスティマハイブリッド」)。
トヨタマーケティングジャパンは、エスティマハイブリッドの活動として、これまでも子供たちの可能性を応援するさまざまなプロジェクトを実施している。2010年にはiPhoneを活用したインタラクティブな知育絵本を通して、仕事に対する好奇心を育むきっかけをつくる「PhoneBook いちばんのおしごと」、2011年はエスティマハイブリッドがつくる電力を使い、被災地・仙台で高校生たちの文化祭ライブなどをサポートした「Charge the Future Project」、2012年は「CREATE THE FUTURE PROJECT」において、金環日食が見られない地域の子供たちに、エスティマハイブリッドが作る電力を使用して映像を届けるなど3つのアクションを行なった。
「エスティマは1990年に“天才タマゴ”のキャッチフレーズで登場。想像を超えて形にしていく“エスティマインド”をブランディングとして、子供たちの知的好奇心を育てていくサポートを行なってきました。
さらに近年は、みんなが社会とつながる体験を通して、未来への可能性を広げる“ソーシャル体験型ブランディング”を実施。今回の新プロジェクトは、その流れをくむ “ソーシャル知育”として、映画を見る側から作る側に、1人ではなくたくさんの子供たちが繋がっていきながら、大人の力も繋げて、夢を現実の形にしていくことを目標にしています。
私自身はこのプロジェクトだけでなく、長年エスティマの開発にも携わってきたのですが、トヨタのもの作りも1人の力ではなくさまざまな人たちが繋がりあって形になっています。子供たちを取り巻く環境や教育にもさまざまな課題が指摘される今だからこそ、このプロジェクトを通して、未来を生きる子供たちにアイデアを出すこと、繋がることのワクワク感や無限の可能性を感じてもらえたら、と思っています」(トヨタマーケティングジャパン マーケティング局主査 片岡史憲氏)