トヨタ自動車の2013年生産台数が1000万台を超え、2年連続で世界一となる見通しだ。世界のだれもが認めるトップ企業のトヨタだが、将来にわたってトップを維持するためには、生産台数2000万台を目指しスズキを買収するような大胆なM&Aをすべきだと大前研一氏は提唱する。
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トヨタ自動車の2013年のグループ世界生産台数(ダイハツ工業と日野自動車を含む)が、世界の自動車メーカーで初めて1000万台を超える見通しとなった。トヨタが発表した同年1~11月のグループ世界生産台数は、前年同期比0.9%増の約934万台と2年連続で過去最高を記録し、同年の世界生産計画1012万台の達成が濃厚になったのである。
このままいけば、トヨタは2012年、2013年と2年連続で世界一の座を維持することになる。だが、経営戦略とブランド系列と進出国を見ると、私が数年前に指摘した通り、今後はトヨタとGM(ゼネラルモーターズ)に続く世界3位(2012年)に位置するVW(フォルクスワーゲン)グループに分があると思う。
なぜなら、まず基本的に“身内主義”を貫くトヨタと異なり、VWは積極的なM&Aによって、今やベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、ポルシェ、アウディ、セアト、シュコダ、マン、スカニア、ドゥカティなど、ラグジュアリーからプレミアム、大衆車、商用車、二輪車まで、傘下に12ブランド・280車種を擁し、すべてのセグメントを網羅しているからだ。
私は、トヨタが今後VWに対抗するためには、「世界一を維持」とか「世界生産台数1000万台+α」ではなく、「2000万台」を目指すべきだと思う。2000万台とはどういうことか? すべての主要国でトップになり、かつ2位にダブルスコアの差をつける、ということだ。荒唐無稽と思われるかもしれないが、実は国別に見れば、1位と2位の差が2倍以上というケースは珍しくないのだ。