ビジネス

アクリ事件「製造現場では10円の賃金格差が軋轢生む」と識者

 アクリフーズ群馬工場で起きた冷凍食品への農薬混入事件。逮捕された契約社員、阿部利樹容疑者(49)の犯行動機として取りざたされているのが、会社に対する待遇面の不満だ。

 報じられている内容では、同容疑者は2005年入社の契約社員。半年ごとに継続雇用の更新が繰り返され、勤務歴は8年に及ぶベテランだった。

 給与・賞与の水準は時給をベースに「年功序列型」になっていたが、2012年4月から業績評価に応じて時給単価やボーナス額が上下する「成果型」の給与体系に改められた。

 生産目標の達成なども加味される成果主義により、同容疑者のボーナスや手当ては大幅に減額されたという。現在の年収は推定で約200万円。ボーナスが自分より勤務年数の浅い同僚の半分以下だったことを知り、「やってられない」と周囲に不満を爆発させていたとの証言もある。

 アクリ社は会見で、「給与の減額は大きくない」「職場に不満があるとは認識していない」と言及したが、「賃金体系を含めて会社側が労務管理の失態を問われても仕方ない」と話すのは、人事ジャーナリストの溝上憲文氏だ、

「年収200万円といえば高卒の初任給と同じレベルで、容疑者の49歳という年齢を考えれば、ワーキングプアに等しい。しかも、いつクビを切られるか分からない不安定な精神状態のまま8年も働いて給料が上がらないとなれば、日頃の不満がマグマ的に蓄積されていたとしても不思議はありません」

 そもそも、細かく生産工程が分かれ、ルーティンワークも多いモノづくりの現場において、成果給の導入は「やってはならないことだった」と、溝上氏は指摘する。

「会社にとっては、成果給の導入は人件費や生産コストの削減につながりますが、生産現場にそれを適用すれば、わずか10円の賃金格差によって従業員の志気が低下してチームワークが乱れることがあります。また、何よりも生産目標を厳しく課すことで不良品の発生率が高くなります」 

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
主演女優として再ブレイクしている安達祐実
《『家なき子』から30年》安達祐実が“子役の壁”を乗り越え、「2度目の主演ブレイク期」へ 飛躍する43才女優の今を解説 
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン