日本の公衆無線LAN(Wi-Fi)環境にも無料で提供される場所が増えてきた。訪日旅行促進事業をすすめる観光庁も外国人にとって利便性が高いFree(無料) Wi-Fiの設置を推進している。ところが、外国人が自国で使っているスマートフォンをそのまま利用すると電波法違反になってしまうことがある。
総務省総合通信基盤局電波部電波環境課によれば「技術基準適合証明を受けた『技適マーク』表示がない携帯電話やスマートフォンを使用しての無線LAN使用は、原則として電波法四条の違反になります」という。技適マーク表示がない端末でも、国際ローミングして使用する場合は電話事業者が無線局の免許や適合証明を代行していることになるので電波法に違反しないが、Wi-Fiを使用する場合には違反となる。
外国人に人気が高い京都市では、誰でも3時間まで無料でWi-Fiを使える「KYOTO_WiFi(キョウト ワイファイ)」の提供を昨夏に始めている。京都市産業観光局観光MICE推進室によれば、使用するときに利用規約への同意は求めているが、そこで技適マークが表示されない端末は使用できないとは明記していない。
「技適マーク表示がない端末について、いまのところ指導や順守を強く求められていません。利便性向上が目的のサービスに、それを阻害する形での周知は難しいと思っています。(技適マークがない端末利用に)問題がないとは言い切れないのですが摘発例もないと聞いていますし、積極的に周知するかどうかについては十分に議論されていないというのが現状です。関わる通知が出たら検討することになると思います」(京都市同推進室担当者)
全国各地で外国人が使用することを念頭に置いたFree Wi-Fiの設置が進んでいるが、多くは京都市のように使用端末には技適マーク表示が求められるとは明記していない。日本語と英語で「Wi-Fiを利用できるのは、日本の技術基準適合証明等を受けた端末のみとなります」と明記している少数派は、山梨県の「やまなしFree Wi-Fiプロジェクト」HPだ。
山梨県観光部観光振興課の高橋義徳さんは「あくまで注意喚起です」という。
「総務省やサービス提供事業者のNTT東日本と連携をとって、今のような表示になっています。山梨県は電波法違反について取り締まる立場にありませんから、注意喚起だけです。外国の人から技適マークについて質問されたことはまだ一度もないですね」(前出・高橋さん)
アップル社のiPhoneは世界共通仕様なのでどこで購入しても技適マークつきだが、iPadの海外版では技適マークがないものもある。中国シェアでアップルを抜いたことが評判になった小米(シャオミ)やWindowsPhoneとして存在感が復活しつつあるNokia、日本を抜きスマートフォン出荷台数世界3位になったインドのMicromaxなど日本未発売端末の大半は、日本でWi-Fiを利用してインターネット接続すると電波法違反になるのだ。