沖縄では、米軍普天間基地の移転候補地である名護市辺野古のキャンプシュワブ沖の埋め立て申請を仲井真弘多知事が承認し、普天間返還合意から17年ぶりに基地移転が大きく動き出すと思われた。
だが、その矢先に行なわれた名護市長選(1月19日)で基地受け入れ反対派の稲嶺進市長が再選され、基地建設(埋め立て)工事をめぐる反対闘争の激化が避けられない情勢になっている。左翼活動家らが続々沖縄入りするなど、「沖縄安保闘争」勃発かと懸念が広がっている。
官邸では、国内治安を担当する米村敏朗・内閣危機管理監(元警視総監)の下で、「安危」と呼ばれる官邸の危機管理部門が密かに沖縄争乱に備えた警備計画案を練っている。
「反対派の稲嶺市長は、業者が埋め立て工事や調査を行なう際に必要な漁港や市道の使用許可を出さないことで移設を阻止する構えだ。反対派も連携するはずで、どこにピケを張ったり、バリケードが組まれるかの詳細なシミュレーションはすでに終わっている。
問題は警備体制。200人程度のピケなら沖縄県警の機動隊でも排除できるだろうが、数千人、数万人が集まるような状況になればどんな不測の事態が起きるかわからない。沖縄県警だけで対処するのは到底不可能で、本土から機動隊の増援が必要になる。
通常なら、まず九州管区の機動隊を派遣することになるが、沖縄県民はかつて琉球国を占領した薩摩藩に複雑な感情が残っており、九州管区から出せば刺激しかねない。そこで東京(警視庁)の機動隊の精鋭を送り込むことを含めていくつかのシナリオで増援計画を立てている」(官邸筋)
陸上警備では、本土から沖縄への機動隊精鋭部隊の派遣という、まさに成田闘争や浅間山荘立てこもり事件(※注)なみの布陣を考えていることがわかる。