国内

消費増税前の駆け込み需要「クラスプレミアム」がキーワード

 景況感の回復による“アベノミクス消費”は、消費税増を目前に控えた駆け込み需要も手伝って、より高額品に向かいつつあるようだ。

 高級マンションや宝石、時計、クルマなどが売れていると聞いても実感の湧かない人も多いだろうが、「良質でラグジュアリーなものにはお金を惜しまない」という消費者層は確実に増えている。

 人生でもっとも高い買い物である住宅は、増税後の負担増も大きいだけに駆け込み消費は顕著だ。2013年の首都圏マンション市場動向(不動産経済研究所調べ)によると、首都圏で供給された新築の分譲マンションは6年ぶりに5万戸を上回り、中でも1億円を超える“億ション”は前年比で倍増(1504戸)した。

 大手不動社業者の販売担当者は、「近年は物件の広さよりも、いかに省エネ設備が揃っているか、耐震性がどれだけ優れているかといった機能重視で分譲価格を比べる人が多い」と話す。

 また、『ロレックス』をはじめとする高級時計や、宝飾品の百貨店売り上げも2013年は対前年比15.5%増(日本百貨店協会データ)と好調だ。

 時計ジャーナリストで桐蔭横浜大学教授の並木浩一氏に聞いてみると、やはり100万円以上する“ゴールドが標準”の超高級ブランドの腕時計が売れているという。

「最高峰ブランドと呼ばれる『パテック フィリップ』などはその代表です。ただ、高級腕時計は単なる贅沢品だけではなく、毎日使うこともできる<生活の中の高級品>です。消費者もいい物を見極める眼を持っていて、それを買うことで生活が豊かになるという、貯金を叩くのに足る理由があるわけです」(並木氏)

 今年に入ってから新車販売が17年ぶりの高水準を維持しているクルマはどうか。トヨタ自動車の高級車ブランド『レクサス』の2013年販売は前年比7.1%増の4万6773台。『メルセデス』や『BMW』など競合する高級外車も多い中、国内メーカーの最高品質に対する消費者の信頼度は高い。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が語る。

「レクサスは<LS、GS、IS>といった大型の主力車種だけでなく、コンパクトサイズの<CT>などライフスタイルに合わせてダウンサイジング化させたシリーズも発売してユーザー層を広げています。たとえ小さくても品質を落とさずに“クラスプレミアム”を追求していることが好調の理由でしょう」

関連キーワード

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン