つば九郎が宮本慎也氏引退について語る
「おまえ、ふぁんにこびるのうまくなったな、それだけずるければ、りっぱにやれるよって……。6さまのいじわる!」
東京ヤクルトスワローズ応援部鳥・つば九郎は、昨年引退した「6さま」こと宮本慎也氏(43)と交わした会話を、懐かしそうに振り返る。そんなつば九郎にとって、宮本氏がサインと言葉を入れて贈ってくれた著書『歩─私の生き方・考え方』(小学館刊)は、彼と過ごした19年間と共に、一生の宝物だ。
「ぴーえるじだいのせんぱいや、ふだんはなさない、かぞくのことがおもしろかったな。なにがあっても6さまのみかたをするきょーれつなおかんとか、こどもをいじでもさっかーぶにいれたくない、6さまのぱぱっぷりとか(わらい)」
大阪の小柄な少年が、ゴールデングラブ賞10回の“脇役の一流”となるまで、本書には徹底した反復と、負けてたまるかという反骨心を貫いた半生が綴られる。一方で、神宮のファンに応じてサインする間ずっと宮本氏の鞄を持ち、その背中を見ていたつば九郎は、「俺がやめたら、もう誰の鞄も持たなくていい。ここまでやる選手が出るまで甘やかすな」と言い残した彼の不在が、淋しくてたまらない。
「しかってくれるひとがいなくなって、かんぜんな6さまろす(なみだ)。でもいつか6さまとひがんのるーびーかけをするひまで、ふぁんをもりあげるのがぼくのしごと! そんなこわくてやさしい6さまの、やきゅうと、じんせーのほんをよろしくね。ぺこり」
※編集部注:つば九郎さんは、質問にはすべて「紙にひらがな」で答えてくれました。読みにくくて申し訳ありません。
撮影■国府田利光
※週刊ポスト2014年2月28日号