近隣諸国が災害に見舞われた時、どれだけ手を差し伸べられるかは、その国の経済と心の豊かさを測る尺度になる。
昨年11月、台風30号により甚大な被害を受けたフィリピンに対し、韓国政府が発表した緊急援助額は500万ドルだった。その金額に、左右両派を問わず韓国国内メディアから批判が相次いだ。すでに発表されていた他国の援助額はアメリカが2000万ドル、イギリスが1600万ドル、日本が1000万ドルだったからだ。
1950年の朝鮮戦争で韓国を救うために7000人の兵士を送り、112人が戦死、299人が負傷したフィリピンは韓国の「血盟国」とされている。1963年にはソウル中心部にフィリピンからの援助や技術協力を受けて奨忠(ジャンチュン)体育館が建設された。この韓国初の総合体育館は1988年のソウル五輪で柔道とテコンドーの会場として使用された。
1960年代前半の韓国は朝鮮戦争で焦土と化したままであり、アジア2位の経済規模を誇っていたフィリピンのほうが豊かだった。つまり韓国にとってフィリピンは大恩人なのだ。
ところが彼の国では、ご承知の通り歴史は自由自在に書き換えられる。台風被害の後、韓国の国会でフィリピン出身の美人議員として知られるイ・ジャスミン氏が祖国への更なる援助を訴えた際、奨忠体育館建設の経緯を語ると、「そんな歴史があるわけない」「フィリピンへ帰れ」とネットで大炎上したのである。
500万ドルという緊急援助額については海外からも「stingy(ケチ)」だという意見が出たが、実は韓国としては過去の例を踏襲したに過ぎない。
過去10年間の緊急援助額を見れば、2004年のスマトラ島沖地震や2005年のハリケーン「カトリーナ」による大被害に対しても同じ500万ドルだった。2008年にサイクロン被害のあったミャンマーや、2010年のハイチ大地震への緊急援助額はさらに渋チンで250万ドル。批判を受け、フィリピンに対しては韓国は「3年で2000万ドル」の追加支援を打ち出したが、それも日本の追加支援(4000万ドル)に比べると少ない。