投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、4月14日~4月18日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、リスク回避の円買いが継続する可能性が高い中、日米の金融政策を見極める意味で、黒田東彦日銀総裁とイエレン米国連邦準備理事会(FRB)議長の発言に注目する展開となる。市場が警戒するリスクとして、FRBのテーパリング(量的緩和縮小)継続、米国金融機関への資本規制強化、超高速取引への規制強化などによる流動性供給減少懸念、中国が低成長、デフォルト(債務不履行)を容認し景気刺激策を見送る懸念、ウクライナ情勢の緊迫化懸念などが挙げられる。
【米財務省半期為替報告書】(中旬頃に提出予定)
米財務省半期為替報告書では、環太平洋経済連携協定(TPP)での日米交渉が難航していることで、円安牽制の可能性に警戒する展開となる。
【イエレンFRB議長講演】(16日)
イエレンFRB議長は、3月19日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、量的緩和終了後、6ヶ月程度で利上げを開始すると発言したが、3月31日の講演では、低金利政策は長期化する、と打ち消した。3月のFOMC議事録では、利上げ時期に関する協議が無かったことで、イエレンFRB議長のコミュニケーション能力が疑問視されている。ニューヨーク株式市場の下落を受けた、イエレンFRB議長の発言が注目される。
【黒田日銀総裁】(17日・日銀支店長会議)
G-20財務相・中央銀行総裁会議では、FRBのテーパリングによる流動性供給の減少を、日本銀行の追加緩和で相殺することが期待された。黒田日銀総裁が「追加緩和は考えていない」と発言したことで、日経平均株価は、2013年4月の異次元の量的・質的金融緩和発表時の13000円台まで反落しており、黒田日銀総裁の発言が注目される。
【ウクライナ情勢】
5月25日のウクライナ大統領選挙に向けて、ウクライナ東南部のロシア系住民によるロシア編入を求める住民投票を要請する声が強まりつつある。オバマ米政権が「OFAC規制」を発動し、ロシアの国家及び金融機関の資産凍結を強行した場合、ロシアも米国債の売却や天然ガス供給停止などを警告しており予断を許さない状況が続く。
【本邦機関投資家の外貨建て資産投資】
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額を受けて、本邦機関投資家による新規の外貨建て資産への投資増額が期待されている。
4月14日-18日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。