2013年度末、電機各社が増益を発表するなか、主力のエレクトロニクス部門が赤字続きのソニーは「1人負け」だった。ジャーナリストの永井隆氏が、『プレイステーション(PS)』シリーズを展開するゲーム事業のこれからについてリポートする。
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エレクトロニクス部門が赤字続きのソニーにとって、『プレイステーション(PS)』シリーズを展開しているゲーム事業は好調を持続している。ソニーの100%子会社、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の事業だ。
最新機の『PS4』は昨年11月に欧米などで発売され、今年2月に日本でも発売された。この3月末までの販売目標は500万台だったが、3月2日時点で600万台に達した。その好調ぶりから「ソニーの救世主」との声も上がっている。ちなみに店頭実勢価格は4万2000円前後と、決して安くはない商品だ。
PSシリーズの売りであるリアルなグラフィック描画能力を進化させたことに加えて、PS4最大の特徴はネットワーク機能を高めた点にある。
SCE戦略・商品企画部次長の菊地修蔵氏(39)はこう説明する。
「ネットを通じて別の場所にいる友人と一緒にプレイ(オンラインマルチプレイ)したり、ストリーミングサービスを使って自分のプレイしている画面を世界中に中継したりすることが簡単にできるのがポイントです。
パソコンでゲームをしているユーザーにとっては当たり前のことでしたが、高い機材を揃えるなどお金と手間の面でハードルがありました。それがPS4さえあれば1つのボタンで手軽にできるようになったのです」
PSシリーズユーザー向けの会員制ネットワークサービスにも注力している。「プレイステーションプラス」がそれで、年間5143円(1か月の場合514円)で利用権を購入すれば、年間55タイトル以上のゲームを無料プレイできるなどの特典がある。PS4では「プラス」に加入していることが前述のオンラインマルチプレイをする条件になっており、「600万台のユーザーのうち300万台が加入しています」(菊地氏)という。