就活ツールで業界ナンバー1といわれる「リクナビ」。掲載者数・会員登録数では今や「マイナビ」の方が上なのだが、批判の俎上にあげられるのは「リクナビ」の方が多い。なぜなのか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考えた。
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いま、メディアで話題となっているのは、リクナビ批判です。雑誌『WEDGE』の2014年4月号では『「就活」が日本をダメにする 不満続出するリクルートのビジネスモデル』という特集が組まれました。採用担当者、大学教職員、人材ビジネス関係者の間で話題になっています。他にも東洋経済オンライン、FLASHなどが、リクナビ批判(の検証)とも言える記事を掲載しました。
やや端折って説明するならば、リクナビが日本の就活を悪いものにしていないか、リクナビのOpen ES(簡単に言うと共通エントリーシート)、応募数を煽る機能などは本当に学生の役に立っているのかなどの批判です。
これらの記事で注目したい点は、「就職ナビ批判」というよりも「リクナビ批判」になっていることです。実は今、リクナビは「掲載社数」「会員登録数」という指標においては、No.1ではありません。この指標においては、今はマイナビの方が上なのです。なぜ、リクナビだけが叩かれるのでしょうか?
先日、マイナビの社員と情報交換兼ランチをしました。名刺には、「マイナビは掲載社数・会員登録数 No.1」というシールが貼られていました。輝いて見えました。もっともシェアをとるために、かなり値引きなどのサービス施策を行ったと、人事担当者たちは証言していますが。
ただ、この「掲載社数・会員登録数No.1はマイナビ」という事実は、まだまだ世間一般に認知されていないように感じます。推定値ではありますが、売上ベースでのマーケットシェアはリクナビが上だと言われています。長年、業界の雄だったとも言えるでしょう。
では、なぜ、リクナビは叩かれるのか? 業界No.1ならではのやっかみはもちろんあるでしょう。個人的には、新機能のリリースなどが雑だった、No.1のおごりがあったのではないかと考えています。
このNEWSポストセブンでもご紹介しましたが、昨年、大学教職員の間で炎上した事件といえば、Open ESという新サービスをめぐる問題です。共通化したエントリーシートで、もともとの意図は就活生の負荷軽減でした。しかし、結局、沢山応募させるリクナビ型モデルの延長線上にあるのではないかと批判を受けました。
最も批判されたのは、「紹介文機能」です。自分の良い部分を他の人に紹介してもらうという機能なのですが、リリース前後に、大学教職員の負荷を増やすのではないかという声がありました。その後の説明では「大学教職員には紹介文を依頼しないでください」という表記がありましたが、これはこれで変な話ではあります。学生を一番よく見ているのは、大学教職員のはずですから。大学では反対や疑問の声が起こり、一部の有名大学は抗議の声明を発表しました。
また、まとめてエントリーするボタンが随所に設置された件も応募を煽っていると批判されました。
率直に私は説明が下手くそだなと感じました。就職情報会社は、大学教職員からの信頼を大切にしてきたわけですが、説明が雑だったなと感じます。就職情報会社が介在する価値も問われ続けています。優秀学生を採りたいなら、個別に大学にアプローチしたり、インターンシップで囲い込んだ方が有効ですから。