和食がユネスコの世界無形文化遺産に指定され、日本政府はクールジャパン推進項目に日本食や食文化も含めて海外展開しようと熱心だ。ところが、外国人が来日して日本食の修業をすることはほぼ不可能だという。それは、出入国管理法などの「おバカ規制」がはびこっているからだと政策工房社長の原英史氏が解説する。
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海外旅行先で「ジャパニーズレストラン」と称する店に入り、がっかりした経験のある人は少なくないのではないか。実はこのインチキ和食にも、在留資格の問題が深く関わっている。
どういうことか。
まず日本にあるフレンチレストランやイタリアンレストランを考えてみると、ちょっとした有名店であれば「シェフが本場にわたり有名店で数年間修業」といったところは珍しくない。そうした店がまた国内において修業の場となる。そのため、日本人向けに独自のアレンジはされても、およそ本質に反する滅茶苦茶なフレンチやイタリアンはあまり出現しない。
ところが、逆方向、つまり「外国人が本場日本で和食の修業をする」という例はあまり見られない。日本で修業したい外国人が少ないわけでは決してない。我が国の出入国管理法の規制で認められていなかったのである。
出入国管理法では、料理の技能を有する外国人には「技能」の在留資格が認められるが、法務省の定める省令で「料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務」に限られる。
つまり西洋・アジアなどの外国料理ならOKだが、和食では認められない。こんな馬鹿げた規制によって和食が世界でこれだけポピュラーになったにもかかわらず、本場のクオリティを世界に広める道を自ら閉ざしてきたのだ。