香港の大富豪で、長江実業集団の総帥である李嘉誠会長や、李氏の二男、李沢楷(リチャード・リー)氏が最近、中国国内の不動産物件をすべて売り抜けたという情報が飛び交っており、「いよいよ中国の不動産バブル崩壊か」との観測が急浮上している。
今年第1四半期(1~3月)の中国の住宅販売額は昨年同期比7.7%減の1兆1100億元(約18兆円)に落ち込み、新規着工面積も同25%と大幅減で、中小の不動産会社が倒産したことも、一般投資家の懸念に輪をかけている。
中国国営の新華社電によると、李沢楷氏の率いる香港の不動産会社、盈科大衍地産(PCPD)はこのほど、北京に保有していた複合施設「北京盈科中心(パシフィック・センチュリー・プレイス)」を香港のファンド、ガウキャピタルに72億1000万香港ドル(約950億円)で売却することを決めた。売却は今年8月下旬までに完了する見込みで、PCPDの利益は税込みで26億4600万香港(約344億円)ドルに上るとみられる。
李嘉誠氏も昨年8月以来、広州や上海に所有していた少なくとも4つの大型物件を次々と手放しており、その合計売却額は約204億香港ドル(約2650億円)に達したもようだ。
李氏親子以外に、北京と上海で不動産開発を手掛けるSOHO中国社も2月、8億3700万ドル(約850億円)で上海の商業ビル2つを売却した。
李氏らの不動産売却の動きについて、米不動産投資会社MGIパシフィックの経営幹部のコリン・ボガー氏は米ウォールストリート・ジャーナル紙に「現在のところ、賢明な選択のように思われる」とコメントするなど、市場では「不動産バブルの崩壊も近い」との観測が流れている。