国内

禁煙で肺がん増加?「たばこ以外の要因を追究すべき」と識者

 4月10日、韓国で15年にもわたって続けられてきたひとつの裁判に終止符が打たれた。長年たばこを吸ったことで肺がんや咽頭がんになったとして、30人の元喫煙者が国とたばこメーカーKT&Gに損害賠償を求めた訴訟である。

 日本の最高裁にあたる大法院が下した判決は“原告敗訴”。このニュースを報じた朝鮮日報によれば、裁判官はこう判決理由を述べたという。

<肺がんは喫煙によってのみ引き起こされる疾患ではなく、物理的、化学的、生物学的な因子と生体の内的因子の複合作用によって発病する。喫煙のせいで肺がんにかかったという因果関係を立証するに足りる蓋然(がいぜん)性は証明されていない>

 日本でも禁煙運動の根拠となっている「たばこ=肺がん」という定説。年間8万5000人が罹患して、6万人以上が死亡する恐ろしいがん種ゆえに、「たばこを吸えば必ず肺がんになりますよ」と警告されれば、禁煙に励む人が増えるのも当然だろう。

 だが韓国同様、たばこと特定の疾病リスクとの因果関係を示す科学的な実証データは乏しく、単なる刷り込みで先入観に過ぎないとみる向きもある。中部大学教授の武田邦彦氏がいう。

「今や日本では“禁煙すると肺がんが増える”おかしな状況になっています。成人男性の平均喫煙率はピーク時の1966年が83.7%だったのに対し、2013年は32.2%と半数以下に減っています。にもかかわらず、肺がんによる死亡率は1950年から1995年ごろにかけて顕著に増加し、がんの死因の1位を長らくキープしているのです」

 武田氏がこうした見解を述べる度に、禁煙団体や医師らは、

「肺がんの死亡率は1995年から減っている。喫煙の影響が現れるには20~30年のタイムラグを見る必要がある」

 と指摘してきた。だが、武田氏はさらにこう反論する。

「確かに死亡率は徐々に減少傾向にありますが、それは喫煙歴とは関係ありません。その証拠に、女性の喫煙率は過去50年間15%前後と横ばいなのに、死亡率グラフは男性と同じ曲線を描いているからです。また、肺がんにかかる罹患率も、タイムラグを考慮しても喫煙者数の減少とは逆に増える傾向にあり、どう考えても説明がつきません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン