今年に入ってからも、4か月連続で既存店の売上高を落とし続けるなど、凋落が止まらないマクドナルド(日本マクドナルドホールディングス)。8期連続の増収増益という金字塔を打ち立て、「デフレ時代の雄」と持てはやされていたころの面影は、もはやない。
「店内調理や淹れたて100円コーヒーなどでコンビニに客を奪われている」(流通紙記者)のがマック不振の要因とされているが、むしろ“王者陥落”を好機と捉えて攻め込もうとしているハンバーガーチェーンがある。
米カリフォルニア州に本拠を置く『カールス・ジュニア』(運営会社はCKEレストランホールディングス)だ。
創業は1941年。創業者のカールス・カーチャー氏がホットドックの露天商から身を起こし、今では世界31か国、約3500店のバーガー店を運営。全米で業界5位の地位を築く。
日本(大阪)にも1989年に一度進出して6店舗ほど構えていたが、「1個350~400円の高級ハンバーガーが当時の若年層の支持を得られず、提携先の外食企業フレンドリーが早々と見切ったためにわずか数年で日本から撤退した」(前出・記者)苦い過去をもつ。
あれから20年以上がたち、同社は再び日本市場で勝負を挑む。
その理由について、6月9日に会見した同社のマイケル・マーフィー社長は、「日本人はプレミアムなものを欲しているし、今回は成功できる」と自信をのぞかせた。
再上陸という点では、同業他社のウェンディーズが2009年に日本から撤退し、2年後に再び出店を果たした例もある。カールス・ジュニアも社長の思惑通り、景気回復による高額消費トレンドに乗り、「1000店規模の展開を目指す」(同社)ことができるのか。
フードコンサルタントでバーガー研究家の肩書きも持つ白根智彦氏が話す。
「カールス・ジュニアのハンバーガーの特徴は、大判のパテ(肉)を鉄板ではなく炭火焼き風に調理すること。これにより余計な脂を落として他チェーンにはない香ばしさを売りにしています。そういう意味では直火焼きで風味にこだわり、ボリュームあるバーガーを提供している『バーガーキング』が日本での最初の敵になるでしょう」
ただ、かつてカールス・ジュニアが撤退した敗因のひとつとして、この調理法が仇になったことも否めない。
「パテを焼くのに大型のグリルを使うため、ファミリーレストラン並みの広い厨房が必要でした。だから、『高い賃料に見合うほど採算が取れなかった』ようです。
今後、1000店規模での再進出を狙うなら、効率のいい店舗スペースの確保や調理法に工夫を凝らしたオペレーション改革が絶対条件になるでしょう」(白根氏)