暮らし方は時代とともに移りゆくもの。日本人の“理想”も変化している。
平成26年版「少子化社会対策白書」によると、母親の第1子出産年齢は30.3歳だった(2012年)。その第1子を生んだ母親が生まれたころ、1980年当時の平均出産年齢は26.4歳だったから、30年で約4歳、晩産化が進んだことになる。合計特殊出生率は17年ぶりに1.43に上昇したが、2人以上の子どもをもつことは簡単ではないとされる。しかし、既婚者の7割以上が理想の子ども数は「2人以上」と考え、「子ども2人」や「子ども3人以上」の家庭のほうが、より日々の幸福感を高く感じている、というデータもある。
全国の20~39歳の女性、20~49歳の男性の既婚者を対象に実施された「夫婦の出産意識調査 2014」(タマホーム株式会社)によれば、76.7%が「子ども2人以上が理想」と答え、現在子どもを1人持つ人の86.4%が「今すぐ~2年後」までにもう1人を欲しいと考えている。
家庭の日々の幸福感を、100点満点の点数で答えてもらったらどうか。「子どもはいない」79.7点から「子ども1人」だと76.5点に下がるのに対し、「子ども2人」は81.5点、「子ども3人以上」だと81.4点と高めの点数を記録した。
家族の人数が多いほど、幸福感は増すと数字は語っている。では、現代の日本人は大家族での暮らしを望み始めたのか。
「家族にもう一人、子どもが増えるだけでこんなに毎日が楽しいとは思ってもいませんでした」と一昨年に娘が誕生し、小学生の長男とあわせて二児の父となった練馬区在住の丸尾さんは言う。だが、『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』のような三世代同居をしたいわけじゃないとも続けた。
「車で1時間くらいの町に僕の両親も、妻の両親も暮らしています。これまで、お互いの親に子どもを預かってもらいながら子育てをしてきました。長男はやんちゃなので毎日だと体力がもたないと言われますが、時々だと喜んで面倒を見てもらえます。子どもたちもおじいちゃんとおばあちゃんが大好きですよ。親の助けがなければ2人目の子どもを持つ決心はつかなかったかもしれない」
同居はせずに夫婦の親、子どもたちにとっては祖父母の近くに住みたいというのが本音のようだ。同居はしないけれど行き来は多い、ゆるやかな大家族が理想ということか。この考え方は、子育て世代だけでなく、祖父母世代にとっても共通らしい。