今日で大阪など一部の地域を除き、夏の甲子園出場校が出そろう。そこで漫画「野球部に花束を」(秋田書店刊)がブレーク中の漫画家のクロマツテツロウさんに、「クロマツ流甲子園の見どころ」を伺った。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
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--クロマツさんの作品は都立の普通の野球部を舞台に、その日常を描いています。それが野球部「以外」の読者にも「えっこんな世界なの!?」という意外性があって面白い。クロマツさんも野球部でその実体験が活かされているそうですが、どんな選手だったんですか。
クロマツ:一応強肩のショートで鳴らしたつもりなんですが、送球難で打点より暴投による失点の方が多い、という選手でした。普通の公立高校で3年夏の県大会も初戦敗退です。
--クロマツさんは野球部の奇妙な習慣、独特のルールを取り上げた「野球部あるある」(菊地選手著、白夜書房)で漫画を担当され、「花束を」でも「野球部あるある」を紹介されています。たとえば返事をすることを「アンサー」、急ぐことを「ハリー」とか、英語が多用されるのがおかしい。
クロマツ:英語は不思議だらけでしたね~。ウォーミングアップやクールダウンのことを「アップ」とか「ダウン」とか、その辺はまぁわかります。わからんかったのは、やたらと「ジャッジ」という言葉を使うこと。例えば先輩が、
「自主練の守備・打撃・筋トレのメニューのジャッジは各自のジャッジに任せるので、ワンランクでも上にステップアップできるように考えてジャッジするように」
とか言うんですが、意味わからないでしょ(笑)。
--あと監督と先輩の理不尽さもおかしい。
クロマツ:おかしいですよ(笑) 僕の現役時代、大会前の追い込み練習で陽が落ちてまともにボールが見えないなか、監督が鬼みたいにノック始めたんです。その打球が僕の顔面を直撃して歯が折れて、血がグラウンドに垂れました。その瞬間、誰もが監督が慌てて謝ると思うじゃないですか? そしたら、
「なにグランドに唾を吐いとんねん!出て行け!」
僕も思わず「すみません!!」て大声で謝って、そのままチャリンコで歯医者に直行しました。これ今でも、僕は悪くないはずと思っています。(笑)