7月27日はスイカの日。夏に旬を迎える果物のなかでも、スイカは季節を象徴するもののひとつだろう。ところが、スイカの収穫量は約37万トンで40年前の3分の1程度まで縮んでいる。「家庭の人数が少なくなったのでスイカを丸ごと1個買う家が減りました。携わる農家の高齢化もあって生産量も減り、スイカ離れが進んでいると感じています」と、夏スイカの生産量日本一である山形県尾花沢市にある日本スイカ割り推進協会会長の三浦好昭さんは言う。
もともとスイカは庶民の果物で、夏になると自家または近所から食べごろのスイカが届き、切り分けるのが常だった。ところが、総世帯のうち農家の割合が減り、スイカを自家で栽培することもなくなるとスイカは「買って食べる特別な果物」へと変わり、生の果実を食べる機会が減ってゆく。ジュースやカットフルーツでは食べるものの、生の果実で食べていた時代より消費量は激減した。この現象はスイカだけでなく果物全体にあらわれている。
日本人の果物摂取量をみると1975年には国民1人当たり1日193.5グラムだったが、現在では平均値で108.5グラム、特に少ない20~40歳代では60グラム前後だ(「国民健康・栄養調査」調べ)。厚生労働省は健康推進の観点から果物を毎日200グラム摂取することを推奨しているが、現実はほど遠く減少傾向が止まらない。果物離れは全体的な傾向だが、スイカの場合は、その大きさや特徴による事情も重なっている。
何よりまず、まるごとのスイカは家庭の冷蔵庫で保存するには覚悟のいる大きさだ。種類によっては小型のものもあるとはいえ、やはり大きい。他の食料品の保存量を加減しないと収まらない。そして、食べ終わった後のゴミも多い。ゴミ捨ての日が限られている都市部で、生ごみの量を考えると敬遠してしまう。夏休みにスイカを食べた後、残った皮は飼っている昆虫のエサにした人も多いだろうが、今では昆虫のエサも市販の専用ゼリーだ。
スイカ離れを止める方法はないものかと、スイカ割りに注目しスポーツにして身近なものにしようと働きかけているのが、前出の日本スイカ割り協会だ。
「もっとスイカに親しんでもらうため、最近は体験する人が減っているスイカ割りを『全日本スイカ割り選手権』として実施しています。それまでルールなしでやっていたのですが、スポーツになれば多くの機会に実施しやすくなると考えてルールも制定しました。大会には1チーム3人のエントリーで、毎回、30組ほど出場されます。地元の人だけでなく、観光や帰省で尾花沢へ寄って出られる方もいますよ。
尾花沢の大玉スイカは、大きいものだと12キロ以上、直径30センチ以上になります。スイカ割り大会で初めて、大きなスイカに触ったという人もいました」(前出・三浦さん)