夏バテ解消メニューとしても“鉄板人気”の「餃子」。仕事帰りに餃子をつまみながら一杯やるサラリーマンの姿も多く見かける。
餃子を看板に掲げるチェーン店の市場規模は1517億円(2014年予測・富士経済調べ)あるが、ダントツの規模を誇るのは、1967年よりチェーン展開を始め、2009年にマスコミへの露出から一大ブームを巻き起こした「餃子の王将」(王将フードサービス)である。
いまや餃子の王将の売上高は743億6500万円(2013年3月期)で、「個人店を除く餃子チェーンの中でシェア7割に迫る」(経済誌記者)勢いを見せる。店舗数も直営・FCを合わせて全国に約690店もある。
昨年暮れに同社の拡大路線を指揮した社長が殺害される不幸にも見舞われたが、かねてより目指してきた「全国1000店」を旗印に、今後も首都圏を中心に出店攻勢をかけるという。
その一方で、巨大チェーン店の隙間をついた“餃子ニーズ”を掴もうと近年急増しているのが、「餃子居酒屋」や「餃子バル」といった新業態だ。飲食業界のニュースサイト『フードスタジアム』編集長の佐藤こうぞう氏が解説する。
「最近流行っているオシャレな雰囲気が特徴の“ネオ大衆酒場”が専門店化しているのです。餃子の王将は男性客からは絶大な支持を得ていますが、女性客は気軽に入りにくい。そこで、女性を意識した店づくりやメニュー構成にしている餃子専門店が人気を集めています」
餃子とスパークリングワインの組み合わせを勧めたり、フォアグラなど高級食材を具に使ったり、はたまた<サラダ餃子><餃子あんみつ><餃子アイス>など驚きのサイドメニューを加えたり……。従来のイメージを覆す食べ方で勝負する餃子専門店も増えた。
だが、前出の佐藤氏は「最後に勝つのは、ベーシックな餃子の味を追求している店」だという。
「例えば、東京・調布を皮切りに6店出している『肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場』は店名の通り、パリパリの皮にジューシーな肉汁たっぷりの本格派ですし、渋谷にある『KITCHEN TACHIKICHI』は熟成された豚肉を使った餃子が人気です。
餃子バルや餃子酒場は、これまで保守的だった中華のジャンルに風穴を開けたことは大きいですが、あまりにも新しいスタイルを打ち出しすぎると一時の注目で飽きられてしまう可能性もあります」(佐藤氏)