小泉政権下では経済財政政策担当大臣を務め、慶応大学教授、シンクタンクの所長、産業競争力会議民間議員の肩書きも持つ竹中平蔵氏。その後人材派遣会社・パソナ取締役会長に就任した。長く政権のブレーンとして推し進めた規制改革はパソナへの利益誘導に繋がるのではないのか。ジャーナリストの須田慎一郎氏が竹中氏に斬り込んだ。
須田:産業競争力会議で議論されているように規制緩和によって雇用が流動化すれば、結果的にパソナの利益につながるところに国民の不信感がある。
竹中:そんなことはありません。雇用規制を緩和すると、派遣がなくなるかもしれないんですよ。
いま日本では、正規雇用は過剰に守られています。1970年代に東京高裁の判例で「整理解雇の4要件」(※注)が示されました。しかし現実にはこの4要件を満たすことはかなり難しい。だから会社が苦しくなっても、潰れるまで正社員を解雇できない。だから正社員を増やすことができない。非正規社員をたくさん雇わざるを得ないのです。
【※注】/「人員整理の必要性(経営上やむをえない理由があるか)」「解雇回避努力義務の履行(解雇の前にあらゆる努力を尽くしたか)」「被解雇者選定の合理性」「手続きの妥当性(被解雇者や労働組合から納得を得ているか)」のこと。この全ての要件に適合しないと不当解雇とする判断。
私が主張しているのは解雇の自由化ではなく、同一労働なら同一条件、同一賃金にしようということです。そうすると正規と非正規の区別もなくなり、派遣という仕組みがなくなるかもしれない。パソナの仕事がなくなってしまうかもしれません。