投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、9月8日~9月12日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、8月の日本銀行金融政策決定会合議事録や黒田東彦日銀総裁の講演などから、日本銀行の追加緩和のタイミングを見極める展開となる。米国7月の求人労働異動調査(JOLT)では、イエレンFRB議長が注視する9つの雇用関連指標の内の4つを見極めることになる。市場参加者の間では、日米の金融政策の乖離観測や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額への期待は持続しており、ドルは強含みに推移すると予想されている。
【日本の4-6月期国内総生産(GDP)改定値】(8日)
日本の4-6月期のGDP改定値は、前期比年率-7.0%と予想されており、速報値の-6.8%からの下方修正が見込まれている。日本のコアインフレ率は、上げ渋る展開となっていることで、景況感の悪化とインフレ率の上げ渋りを受けて、12日に予定されている黒田日銀総裁の講演が注目される。
【米国7月求人労働異動調査(JOLT)】(9日)
米国7月のJOLTでは、イエレンFRB議長が「イエレン・ダッシュボード」で注視している9つの雇用関連指標の内の4つを見極めることになる。イエレンFRB議長は、9つの雇用関連指標がリセッション(景気後退)前の水準を回復するまで、利上げには踏み切らないと明言しているものの、8月のジャクソンホール・シンポジウムでは、「ペントアップ賃金デフレ」への警戒感を示すなど、予断を許せない状況となりつつある。
【地政学的リスク】
ウクライナ情勢では、ウクライナ、親ロシア分離主義者、そしてロシアによる停戦に向けた協議の進展を見極める展開となる。ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになるが、第2次冷戦の構図からは「有事のドル買い」となる可能性にも警戒することになる。中東情勢では、シリアからイラク北部にかけた地政学的リスクが高まりつつある。
9月8日-12日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。