中国政府はこのところ、チベット自治区や新疆ウイグル自治区で、少数民族と漢族(中国人)との結婚奨励策を強化しており、特典として報奨金や医療保険の補助や住居の優先的な斡旋、子供の教育面での優遇策などを打ち出している。
両自治区とも独立や宗教の自由を求めて、少数民族による騒乱やテロ事件が多発しており、中国政府は漢族との結婚によって、少数民族特有の宗教や文化、習慣などを排除し中国文化との同化を図ろうとしているようだ。
チベット自治区党委機関紙「チベット日報」によると、自治区トップの陳全国・同自治区党委書記はこのほど、19組のチベット族と漢族のカップルを招いて会議を開き、「血は水よりも濃いと言うが、我々の民族間の関係も良好でありたいものだ。自治区政府は今後も異なる民族間の結婚を奨励していく」と強調したあと、ともに記念写真を撮り、カップルの家庭円満を祝福した。
同紙はこのところ連日、チベット族と漢族との結婚を勧める記事を掲載しているほか、自治区政府も異民族カップルに対する社会福祉上の優遇策を次々と打ち出している。
この方針は徐々に功を奏しており、2008年末に、同自治区における異民族カップルは666組だったものが、昨年末には4795組と急激に増加している。これについて、米紙「ニューヨーク・タイムズ」はチベット族識者の話として、「チベット族と漢族のカップルには優先的に希望通りの職業が斡旋され、医療保険や子供の教育上の優遇策など手厚く保護されることも無視できない。異民族間の結婚によって、チベット独自の文化が失われる可能性が強い」と報じている。