イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の志願兵になるため渡航しようとした男子学生(26)が10月6日に警視庁公安部に事情聴取された。さらに警視庁は学生の渡航を手助けしようとしたとして、イスラム法学者の中田考・同志社大学元教授とジャーナリスト・常岡浩介氏の事務所を家宅捜索した。中田氏は『週刊ポスト』の直撃にこう語った。
──日本人学生のイスラム国行きを手助けしたのか。
「知り合いのやっている秋葉原の古書店が、『シリアに行けば食っていけるらしい』と聞いて、冗談半分でイスラム国の兵士を募集する貼り紙を出しました。それを見て申し込んだ学生の相談が、私のところに持ち込まれたという経緯です」
──学生はシリアに行って何をするつもりだったのか。
「わかりません。ただ、『戦いに行く』『死にに行く』といっていました」
──捜査当局はあなたがイスラム国から依頼を受け、学生を集めたとみている。
「全くの間違い。意図的に間違った情報を流して騒ぎを大きくしているとしか思えない。いかにも公安部らしいやり方です。その構図に乗るメディアも全く何をやっているのかと思います」
──ジャーナリストの常岡氏も家宅捜索を受けた。
「海外経験もない若者が、シリアに簡単には行けません。常岡さんはイスラム国を取材しているので、私が『一緒に行ってやってほしい』と学生を紹介しました。なぜ常岡さんのところまで家宅捜索などするのか、全く理解できません」
──とはいえ、戦闘員募集をサポートしたことになる。
「私はただ、彼らが現地でイスラム国の人と一緒に暮らして信頼を得て、そして世界への交渉役になってくれればと思っただけです」
※週刊ポスト2014年10月24日号