ビジネス

エステ業界にミスマッチの構図 若者の「憧れ就活」は危険だ

 ブラック体質を指摘されるにもかかわらず、毎年多くの若者の人気を集める企業、業界がある。その理由について、作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考える。

 * * *
 今年のブラック企業問題関連でのトピックスと言えば、ブラックバイト問題、すき家問題、そして、たかの友梨ビューティクリニック問題です。それぞれ、過酷な労働環境、たかの友梨ビューティクリニックにおいては社長の暴言などが問題となりました。今回はたかの友梨ビューティクリニック問題にかぎらず、エステ業界は、なぜブラック企業化するのかという問題について考えてみたいと思います。エステ業界の企業=ブラック企業と断定するわけではありません。とはいえ、構造的な問題も大きいのではと思った次第です。 

 11月6日(木)に東京ウィメンズプラザにて「エステ業界 就職・転職支援セミナー」が開催されました。主催はエステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオン・エステ支部)です。私も講師として参加しました。

 当日、小規模のエステ企業の経営者の講演を聞く機会があったのですが、これが大変に勉強になりました。エステ業界の大手企業は過酷な労働環境が話題になるわけですが、とはいえ、それでも人が集まってしまうのはなぜでしょう?それは、エステ業界に憧れる人が、一定数いるからです。

 大手エステ企業は、いつも大量に募集を行っています。エステが好き、美容に興味があるという学生が、憧れから受けてくるという状況です。お客さんとして好きなのと、自分の仕事にするのは、また違うと思うのですが。大手の場合、毎年、本部が新人を一括して大量に採用し、各店舗に配属するのですが、現場の店長は新人の配属時に既にミスマッチを感じるのです。

 仕事が過酷であるが故に結果として、大量に離職し、小規模のサロンに移ったり、他業界に転職していきます。実にわかりやすい、ミスマッチの構図ですね。

 とはいえ、大手エステサロンにしがみつく人たちもいます。辞めようと思っても、大手で働いているというプライドや、福利厚生、社会保障の充実などから辞められないという人たちも一定数いるとのことです。

 ちなみに、私はベーシックな就職・転職の基礎知識、求人の探し方のレクチャーをしたのですが、改めて、求職者は基本的なノウハウを知らないということに気づいた次第です。参加者の反応で印象的だったのが、そもそも転職するという発想すら浮かばなかったということです。というのも、仕事が大変に忙しく、考えている暇もないとのこと。これもまた現実です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン