師走。何かと巷は忙しいようだが、京都・伏見にあるここ『大元(だいげん)』の店内は、いつもの顔がカウンターに並び、いつもと変わらぬ適度な賑やかさに包まれながら、のんびりと酒と肴と会話を楽しんでいる。
サラリーマン諸兄、芸術家、ご近所のご夫婦、大店の会長さん…、そんな常連の立ち飲み達人たちが、この店の魅力を話してくれた。
「酒屋部門のボス(高倉新太郎さん、68歳)がいつも7時前ぐらいになるとこっち(立ち飲みスペース)にやってくるんだけど、彼の包容力だと思うね。いつだって変わらないゆったりした時間は、彼がごく自然に作り出してるんじゃないかなあ。目に見えない、何ともいえないいい空気を出すんだよ」(70代、ご近所さん)
「それとね、こっちを仕切ってるママちゃん(久代さん)の、料理に対する情熱がすごい。食材集めや献立の決め方、もう一生懸命だもの。立ち飲みができる酒屋さんというより、酒屋さんの中に小料理屋があるってイメージなんですよ」(50代、化学系)